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2023年9月25日

慢性便秘症と生活・食事について(その1)

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Ⅰ はじめに 

国民の3割が櫂患しているといわれている慢性便秘症は、まさに国民病ともいえるものです。「慢性便秘症診療ガイドライン」(日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会,2017年)の治療項目の前文では「慢性便秘症の治療には保存的治療と外科的治療が用いられる。保存的治療には食習慣を含む生活習慣の改善、摘便などの理学的治療、薬物療法が用いられ、薬物療法には数種類の異なった作用機序の薬剤が用いられる」とありますが、実際に生活習慣の改善はどの程度有効なのでしょうか。 

Ⅱ 慢性便秘症にリスクとしての生活習慣 

大学生を対象として、朝食摂取の有無と便秘の関連について、1998年から7年間の推移を比較したところ、便秘でない群では朝食不摂取率が約20%だったのに対して,便秘群では朝食不摂取率が約30~50%と有意に高率でした。女性の便秘症は男性の3.5倍みられました。排便する時間帯が不規則だと、男女共に便秘をきたしやすく、女性ではダイエット経験者や昼食摂取が少ない人で便秘が多かった。男性では、一口の咀嚼回数が30回以上の人や 1,500ml/日以上の水分を摂取する人に快便が見られました。軽度の運動は腸機能に変化をもたらしませんが、ジョギングなどの活発な運動は、消化管の活動性を高め、便秘を予防する 可能性があります。高齢者に関しても、活発な運動は便秘のリスクを減少させます。便秘と睡眠の関連性については、睡眠の質を評価したアテネ不眠スケールが6点以上の不眠者は、便秘群で31.7%なのに対して非便秘群は16,4%でした。また、便秘群は非便秘群に比べて中途覚醒時間が長いということも分かりました。 
米国での36~61才の3,327名の慢性便秘症(週2回以下の排便)女性患者を対象とした、便秘のリスク因子に関する検討によると、1)BMI(body mass index)が低値であると便秘が少ない、2)毎日運動する人は、週1回運動する人より便秘が少ない、3)食物繊維摂取量が最も多い20g/日の群は,最も少ない7g/日の群に比べて便秘が少なかった、という結果でした。喫煙本数と飲酒量は排便回数と反比例していました。 
60歳以上のシンガボール在住の2,454人を対象としたアジアでの報告では、慢性便秘症の頻度は11.6%で、性別や人種による差はありませんでした。米飯と中国茶の摂取量の低下、合併する慢性疾患の数や服薬数は用量依存的に便秘の程度を増悪させました。果物や野菜の摂取量が少ないものに便秘症が多くみられましたが、摂取量との相関はありませんでした。 

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