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2022年10月3日

成人病と生活習慣病(その2)

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Ⅱ  脳・心血管病の予防 

1)危険因子
 
日本人の脳卒中の危険因子の寄与度は、高血圧が35.4%、喫煙15%、肥満6%、糖尿病5%と報告されています。一方、過去の日本人の疫学研究によると、冠動脈疾患の危険因子の寄与度は、男性では喫煙が45%と最も多く、高血圧34%、高脂血症5%、糖尿病5%で、女性ではそれぞれ18%、17%、8%、9%でした。これから、わが国の脳・心血管病の危険因子は、高血圧と喫煙の寄与が大きいという特徴が分かります。 
 わが国では、1960年代に猛威を振るっていた脳卒中、特に脳出血については減塩政策が成果を上げ、著明な死亡率の低減化をもたらしました。一方で、終戦後、高血圧患者の減少や喫煙率の著明な低減にもかかわらず、脳梗塞や心疾患の発症率の減少は認められていません。最近の調査では、高血圧や喫煙よりも高脂血症、糖尿病、肥満の寄与度が年々高まっていることが明らかにされています。つまり、現在の脳・心血管病の対策としてのメタボリックシンドロームに代表される過栄養・肥満に関連する危険因子対策が重要なことが分かります。 

2)予防のための総合的な生活習慣改善 

(1)禁煙:5年でも禁煙することで、顕著にその効果が現れることが明らかにされています。 
(2)食事管理:適正体重を維持するためのエネルギー制限、エネルギー比の適正化、飽和脂 肪酸の制限、n-3系多価不飽和脂肪酸と食事繊維摂取、食塩、アルコールの制限が基本。 
(3)体重管理:わずか2~4%の体重減少で糖尿病、脂質異常症、高血圧のコントロールが可能であることが分かっています。 
(4)身体活動・運動:中強度以上の有酸素運動を中心に毎日30分以上。
(5)節酒:毎日の飲酒量は日本酒1合、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯まで。 

Ⅲ 認知症の予防 
  
 最近の研究では、認知症の発症要因としてアルツハイマー病は糖尿病と高血圧で関係があるが、血管性認知症は糖尿病とは関係しているが高血圧とは関係なく、むしろ学歴が最も関係していることが明らかになりました。このことは、認知症予防には、高度な知識を持つことが重要であることを示しています。

IV ロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアの予防 
  
 要介護疾患としての関節疾患、転倒・骨折と高齢による衰弱(フレイル)を引き起こす状態としてのサルコペニアと骨粗鬆症があります。 

(1)サルコペニア予防:高齢者では栄養不足が問題で、筋肉量の決定に関連するアミノ酸(ロイシン)高含有食の摂取と低負荷筋肉運動の繰り返しが推奨されます。 

(2)骨粗鬆症予防:若年齢からの低栄養や痩せ、閉経というホルモン変化の関与が重要なため、ライフステージにあわせた食や運動に対して留意することが望ましい。 

V 悪性腫傷の予防 
  
 悪性腫傷は、細胞における遺伝子異変に起因して、制御の効かない異常増殖をもたらす疾患ですが、この遺伝子変異についても、環境要因による修飾が関与しています。このリスクをあげる筆頭が喫煙です。一方で、運動は結腸癌や乳癌を予防するといわれています。

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