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2023年1月15日

我が国の糖尿病疾患の死因(その2)

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Ⅳ 過去の調査結果との比較 

今回の調査結果を,これまでに3回行われてきた日本糖尿病学会の死因調査委員会による糖尿病患者の死因および病態に関する調査成績と比較、あるいは日本人一般における死因調査と比較してみます。
今回の調査では死因の第一位は悪性新生物、第二位は感染症,第三位は血管障害でした。第一回および第二回の調査では、血管障害、悪性新生物、感染症の順であったのが、前回の第三回目の調査で一位と二位が逆転し、今回は血管障害の比率がさらに減少して第三位となりました。
糖尿病患者での悪性新生物による死亡の比率が、過去三回の25.3%、29.2%、34.1%から今回の38.3%と増加した傾向が継続しているのに対して、日本人一般での死因に占める悪性新生物の割合は、10年ごとに21.6%、25.9%、31.0%と増加してきたものが、2010年では 29.5%と僅かに減少していました。これは最近注目されている糖尿病患者は癌にかかりやすいという説を裏付ける成績といえるのかも知れません。また、悪性新生物の内容をみてみると、肺癌の比率が増加、肝臓癌の比率が減少、眸癌の比率が増加し、これは日本人一般と同様の変化でしたが、日本人一般に対する比率では、肝臓癌は2.2倍、縢癌は2.5倍でした。 
日本人一般での死因にしめる血管障害の比率低下傾向は今回も持続していて、糖尿病患者でも同様でしたが、糖尿病患者では26.8%から14.9%に実に約半減したことは特筆すべき点といえます。この内訳を見てみると、虚血性心疾患による死亡は前々回から前回で14.6%から10.2%と約2/3に減少したものが、今回はさらに4.8%と大幅に減少しました。日本人一般で は7,3%から6.5%へと微減であったのとは明らかに異なる変化でした。また、前回の調査までは、糖尿病患者に死因に占める虚血性心疾患の割合は、日本人一般におけるものよりも常に高かったものが、今回は糖尿病患者の包が逆に低かったことは非常に興味深い結果だといえます。この原因として、高脂血症治療薬や降圧薬の進歩により脂質管理と高血圧管理が厳格 になったことと糖尿病管理の重要性が広く認識されてきたこと、そしてステントなどの虚血性心疾患治療法の進歩によることが大きいと考えられています。 
一方、脳血管障害は,これまでの調査での調査では16.4%、13.5%、9.8%と減少してきて、今回の調査では6.6%とさらに減少しましたが、この傾向は日本人一般でも認められています。日本人全体として血圧と脂質管理が改善してきていることの反映と考えられます。
糖尿病患者の腎障害による死亡は、これまでも減少傾向でしたが、前回調査の6.8%から今回3.5%とさらに減少したのに対して、日本人一般での腎障害による死亡は前回1.8%に対して今回2.0%とほとんど変化がありませんでした。 
死因の第三位を占める感染症に関しては,日本人一般でも糖尿病患者でも増加傾向でしたが、糖尿病患者の方が1,5倍ほど高頻度でした。糖尿病患者の易感染性を示すものといえました。

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