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2020年11月2日

新しいHbA1c表記(NGSP)(その2)

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Ⅲ 世界的に普及しているHbA1c(NGSP値)
 
HbA1cは呼び名も測定原理も世界共通なのに、測定における「標準物質」が各国により微妙に異なることから値が違ってきます。アメリカを中心として大多数の国で使われているNGSP値と日本のJDS値では、NGSP値の方が0.4%大きい値を示します。他にスェーデンが独自の測定法を持っていますが、これは少数派ですので無視します。
 NGSP値とJDS値の違いの原因は、測定の際の標準物質の違いによるものです。HbA1cはヘモグロビンβ鎖N末端バリンのアミノ基にのみグルコースが共有結合したヘモグロビンです。しかし、いざ標準物質を作成するとなると血液中のヘモグロビンを1個1個選別して厳密なHbA1cを抜き出すことは不可能ですから、NGSP値とJDS値のどちらの標準物質にもHbA1c以外のコンポーネントが含まれていました。作成した標準物質のHbA1c値をどう付けるか、これがNGSP値とJDS値の違いの原因です。
NGSP値(%)=1.019×JDS値(%)+0.3

Ⅳ HbA1cの国際標準化(IFCC値)
 
アメリカを中心とした大多数の国、日本、スェーデンと各国独自で標準化はされているものの国際標準ではないということは、いろいろな面で不都合が生じます。「長さ」は国際単位が「m」ですので、6.5mはどこの国でも6.5mですが、HbA1cの単位は%ですからNGSP値とJDS値のように数字が同じでも中身が違ってきます。そこで、2007年に国際糖尿病連合(IDF)、国際臨床化学連合(IFCC)、アメリカ糖尿病学会(ADA)、ヨーロッパ糖尿病学会(EASD)がHBa 1c値を国際標準化してIFCC値(nmol/mol)に統一する「HbA1c値国際標準化についての共同声明」を発表しました。
 IFCCが定義したHbA1cは、「ヘモグロビンのβ鎖N末端バリンのアミノ酸にグルコースが共有結合したすべてのヘモグロビン」で、この定義に従うと、正常成人のHbA1cは2.5~4.5%に成り、JDS値に比べて1.5%低く、NGSP値と比べて1.9%低い値になります。この原因はJDS値の標準物質に含まれているβ鎖17位セリンの糖化物質などが測定されなくなったためでした。国際標準化を進めていく過程で、従来よりも1.5%も低い値になってしまっては医療現場が混乱するということで単位を「nmol/mol」にしました。6.5%(JDS値)は換算すると50.7nmol/molとなり、値も単位も異なるので従来値の間違えることはないだろうという配慮でした。
IFCC値(nmol/mol)=10.39×JDS値(%)ー16.8

Ⅴ 国際標準化としてのNGSP値
 
わが国は暫くの間JDS値とIFCC値を併記して、徐々にIFCC値に移行してHbA1cの国際標準化を完了する予定でしたが、アメリカが従来のNGSP値を用いるとしたために、世界的にIFCCではなくてNGSP値が使われることになり、わが国も今後はNGSP値を用いることとしました。

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