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2020年8月31日

日本人の脂質異常症の動向(その2)

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Ⅱ 日本人の血清脂質の推移
 
「日本人の血清脂質調査」は、わが国での血清コレステロール値の動向を知るために1960年から10年ごとに行われている全国調査で、2000年に行われた調査が5回目になります。同様に、1960年から10年ごとに行われている調査として「循環器疾患基礎調査」があります。この調査は厚生労働省が行っているもので、一般住民からのランダム抽出サンプリング方式で調査しています。日本人の血清脂質調査が空腹時採血を原則としているのに対して、循環器疾患基礎調査は随時採血が基本であるという違いがあるにも拘わらず、この2つの調査結果は驚くほど似通っています。
 「西暦2000年日本人の血清脂質調査」は全国36施設で、一般健診の訪れた12.839人(男性7.658人、女性5.179人)を対象にしたものです。年齢は4~99歳で、中心は20歳代~60歳代でした。一方、2000年循環器疾患基礎調査は平成12年度国民生活基礎調査で選定された単位区から、層化無作為に抽出した約5000世帯の中から満30歳以上の8.369人(男性3.854人、女性4.515人)を対象にしたものです。

①総コレステロール
 血清脂質調査ではTC値の平均が201mg/dl(男性202mg/dl、女性200mg/dl)で、1990年と比べて全体で5mg/dl上昇していました。全体の5%の人が脂質低下薬内服中で、それを除くと平均は205mg/dlでした。男性では20~30歳代にかけて上昇した後はほぼ変化がないのに対して、女性は40歳代で上昇しはじめ、閉経後である50歳代には30歳代に比べて30mg/dl強上昇しました。一方、同時期に調査された循環器疾患基礎調査では、TCの平均値は、1960年176mg/dl 1970年185mg/dl、1980年191mg/dl、1990年204mg/dlと30年間に30mg/dl上昇したことが明らかにされました。

②中性脂肪
 血清脂質調査で最も大きな変化が認められたのは中性脂肪(トリグリセリド:TG)値でした。全体の平均は118mg/dl(男性136mg/dl、女性92mg/dl)と男性で高値を示し、10年前と比べて全体で13mg/dl上昇していました。10年前と比べて、女性はほぼ横ばいでしたが、男性は40~59歳で約30mg/dl、20~39歳でも約20mg/dlと著しい上昇が認められました。この変化は1990年から2000年にかけての10年間のわが国における血清脂質の変化で最も目立つもので、このTGの変化は肥満度(BMI)の変化と一致しています。

③LDLコレステロール
 直説法によるLDLの測定は2000年が初めて実施されたため、過去のデータとの比較はできませんが、平均は118mg/dlで、男性121mg/dl、女性115mg/dlと男性でやや高い傾向を示しました。男性では30歳代で約20mg/dl増加し、以後はほとんど変化がないのに対して、女性では40歳代から上昇し始め、閉経後の50歳代、60歳代でピークを迎えます。

④HDLコレステロール
 HDL値は平均59mg/dl、男性55mg/dl、女性65mg/dlとなり、1990年と比べて特に女性で約10mg/dl、男性でも5mg/dlの上昇がみられました。HDLと食事内容との関係も知られているため、日本人が摂取する食事内容の変化が関係している可能性もあります。

Ⅲ 日本人の脂質異常症の頻度
 
2000年の血清脂質調査では、高LDL血症(140mg/dl以上)の診断基準を満たす人は28%で、高中性脂肪血症(150mg/dl以上)は22%でした。低HDL血症(40mg/dl未満)は8%で、他の調査と比べて少ない傾向でした。
 高LDL血症は男性は30歳代から増加し、女性では40歳代から増加し、60~69歳では40%を超えていました。高TG血症は女性ではTCと同様に閉経後に上昇していました。

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