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2021年5月9日

時間栄養学を応用した食事療法(その4)

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Ⅵ 時間栄養学的視点に基づく食事療法を考える
 
これまで述べてきたように、遅くて多い夕食や夜食は肥満や脂肪肝を惹起しやすく、インスリン抵抗性に陥りやすいのです。また、朝は血中FFAが高く、インスリン感受性が低い時間帯ですが、朝食を早めにしっかり摂ることは、FFAを早く低下させ、結果的には1日の血糖変動を大きくさせないことにつながります。しかし、現実には不規則勤務や交代勤務など仕事の事情などで早寝早起きができないで、食事も不規則にならざるを得ないケースや、規則的な生活であっても仕事上や家庭の事情で通常の時間帯と外れたタイミングで食事を摂らざるを得ないケースも少なくありません。従って、総エネルギー摂取量と栄養バランスが1日を通じて良好であれば血糖値が安定するわけではないのです。時間栄養学的に不利な食形態のケースでは血糖値が改善しやすくなるように食事の内容と食べ方を工夫する必要があるのです。

Ⅶ おわりに
 
時間栄養学は新しい学問分野で、この考え方を糖尿病の食事療法に応用した臨床研究はまだ多くありません。特に、1日2食と3食の多面的な視点からの比較、理想的な朝食の時間の設定、各食のエネルギー量と栄養素の割り振り、夜食や間食の是非などは、これまで漠然と議論されてきましたが、これからは時間栄養学の視点に立った臨床検討が必要です。
 新しい視点から糖尿病の食事療法を見直すことが要求されようとしています。

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