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2018年12月17日

温泉と健康について(その3)

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Ⅳ 温泉入浴の体に与える作用について

2)静水圧
 
 水中では水深が1メートル増す毎に76mmHgずつの水圧が身体の表面に加わります。これを「静水圧」といいます。お風呂の入り方には全身浴(肩まで浸かる)、半身浴(鳩尾の辺りまで浸かる)、部分浴(手・足など身体の一部分のみを水中に浸ける)などがありますが、水位により静水圧が大きく異なってきます。
 空気中での立位では、重力の影響で血液は下半身に貯まります。水中に横隔膜位まで浸かる状態で立つと、皮膚表面の静脈や血流の豊富な肝臓が圧迫されて、血液は心臓の方により多く環流します。首まで浸かると身体全体が圧迫されて、ふくらはぎで1~1.5㎝、胸囲で2~3㎝、腹囲で3~5㎝それぞれ細くなります。逆に心臓の容積は増えて、通常では400~450mlの心臓内の血液量が600~750mlにも達します。
 肩まで浸かる全身浴では、体格にもよりますが、500~600Kg前後の圧力が全身にかかると計算されています。横隔膜が押し上げられて配の容量が1リットル程度少なくなるので、呼吸筋にも負担がかかります。従って、心肺機能が衰えていると過大な負荷かがかかるために危険です。
 このように全身浴は身体全体に大きな圧力が加わり、血液が心臓に集中し、横隔膜が上がって肺呼吸が上手くいかなくなるので、特に心肺系に病気を持っているヒトにはお勧めできません。但し、逆にこの静水圧を心肺機能の鍛錬に利用することもできます。
 これに対して、横隔膜くらいまでの半身浴は重力の影響がなくなり、ちょうど空気中で身体を横たえたときと同程度に心臓内の血液量が約130ml位増加します。従って、半身浴は心臓に余り負担をかけない入浴方法といえます。

3)含有成分
 温泉水中に含有する成分による薬理作用は、温泉作用の中でも最も特異的なものであり、温泉たる由縁にもなっています。

(1)単純泉
 成分は一定以上の基準値に達していないが、温度が25℃以上あるものを単純泉といい、身体に与える刺激が少ないので、利用範囲が広く万人向きの温泉です。病後、外科手術後などの回復期、静養などに適しています。「中風(脳卒中)の湯」、「神経痛の湯」などとして知られています。古今東西の名湯が多く、下呂温泉、道後温泉、湯布院温泉なども単純泉です。

(2)塩化物泉
 日本で一番多い泉質で、単純泉と合わせると日本の温泉の50%以上を占めます。旧泉名の食塩泉もこれに属します。入浴後、皮膚表面のタンパクや脂肪と錯塩を形成して皮膚を被膜状に覆うため汗の蒸発を防ぎ、保温効果がよく「温まる湯」、「熱の湯」とも呼ばれます。従って、皮膚が弱くて温泉に負ける人以外は、浴後に真湯をかけて皮膚に付着した温泉成分を洗い流さない方が効果的です。

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