再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2022年12月5日

無症候性脳梗塞について(その1)

0

Ⅰ 無症候性脳梗塞とは 
  
 核磁気共鳴(MRI)装置や脳ドックの普及により、過去に自覚症状がない症例に無症候性脳血管障害を認めることが増えてきていて、その頻度は高齢者の10~30%程度とされています。無症候性脳梗塞とは、画像上脳梗塞と思われる変化があり、①その病巣に該当する神経徴候(深部腰反射の左右差、脳血管性と思われる認知症などを含む)がない、②病巣に該当する自覚症状(一過性脳虚血発作も含む)を過去にも現在にも本人ないし家族が気付いていない、という条件を満たすものをいいます。無症候性脳梗塞の多く穿通枝という小動脈の閉塞(ラクナ梗塞)であり、近年では大脳白質病変とともに脳小血管病として扱われようになりました。脳卒中の既往がない高齢者を対象とした外国の調査研究では、平均42年の追跡期間で無症候性脳梗塞病変がある症例では、ない症例に比べて他の脳卒中リスクとは無関係に、脳卒中リスクを3.9倍増加させることが報告されています。同様のことが他の国からも報告されています。我が国の人間ドックの成績に基づく検討でも、無症候性脳梗塞症例では、その後の脳卒 中発症が有意に高いと報告されており、無症候性脳梗塞はその後の脳卒中発症の高リスク群であると認識されています。さらに、無症候性脳梗塞では認知症発症が2.3倍増加しているという報告もあり、無症候性脳梗塞は認知機能障害発症の高リスク群であるとも考えられています。

Ⅱ 無症候性脳梗塞の危険因子 
  
 無症候性脳梗塞の最大の危険因子は高血圧で、降圧治療をすると無症候性脳梗塞の増加が抑制できることが明らかになり、血圧管理が重要であるとされています。また2型糖尿病、高コレステロール血症、頸動脈硬化の重症例、非弁膜症性心房細動、メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸、慢性腎臓病、飲酒と喫煙なども無症候性脳梗塞の危険因子です。 

Ⅲ  無症候性脳梗塞の治療 
   
 無症候性脳梗塞は高血圧が最大の危険因子であるため,血圧管理が優先されます。またその他の危険因子管理や生活習慣の是正を行います。無症候性脳梗塞症例での抗血小板療法は慎重であるべきだといわれています。その理由は、無症候性脳梗塞例では血小板活性が亢進しているという報告もありますが、脳ドックでの追跡 調査では無症候性脳梗塞からの全脳卒中発症のうち脳出血が21%だったという報告があるためです。このため、脳卒中治療ガイドライン2015では、無症候性脳梗塞に対する抗血小板 療法は科学的根拠がなく,抗血小板療法を行う場合は個々の症例を十分に検討した後に行うべきだとしています。,

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日