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2023年1月30日

無症候性脳血管病変(その2)

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Ⅲ 無症候性海綿状血管種 

海綿状血管種とは、異なるタイミングで出血した古い血腫と異常に拡張した毛細血管の塊で、腫傷ではなく血管奇形のひとつで、無症候性であれば治療の必要のない良性疾患です。 

1)疫学と自然経過
発生頻度は人口の0.5~0.7%で、男女差はなく、MRIで鋭敏に検出されるため20~40歳代に診断されることが多い脳動静脈奇形についで高頻度に見つかる脳血管病変です。大部分は小型・単発で無症候性ですが、被膜内に出血を繰り返し、徐々に増大して頭痛・瘤軍・脳出血による局所症状を呈する場合もあります。
遺伝する多発性の海綿状血管種が約20%に認められ、約2年の経過で6%に症状の発現があり、30%で画像上の新病変が発見され、9%で画像上の出血が認められるという必ずしも良性とはいえない臨床経過をとることもあります。 
自然経過は脳動静脈奇形とよく似ていて、出血発症例の再出血は最初の一年間は約2%、その後は1%以下で、非出血例の出血率は年間0.2~0.6%とされています。多くは出血があっても無症状で、約10%が症状を伴う出血をきたします。出血の危険因子としては出血の既往,女性、深部病変、小脳や脳幹部病変、遺伝性、若年者、妊娠などが指摘されています。大きさと出血のしやすさの関係はないとされています。

2)治療 
無症候性のものは経過観察でよいのですが、瘤樂の原因となっているもの、出血を繰り返すものでは外科治療の適応になります。手術は中の血腫を吸引してサイズを縮小させつつ周辺協会から剥離摘出するもので、比較的安全に行うことができます。手術が難しいときは定位的放射線治療も治療選択のーつとなります。 

IV無症候性もやもや病 

もやもや病とは、両側内頸動脈終末部に発生する原因不明の狭窄性病変・閉塞性病変です。名前の由来は代償的に穿痛枝などが異常に拡張した側副血行路となり,それが血管撮影で煙がたなびくように見えるために命名された我が国に多発する疾患です。 

1)疫学と自然経過 
年間発症率は10万人当たり0.35~0.5人、男女比は1:1.7,好発年齢は5歳と30~40歳の二峰性をしめし、小児では脳虚血症状が多いのに対して成人では出血発症が多い。約15%に家族歴があります。 

2)治療 
有効な内科治療はなく、米国では抗血小板薬が用いられていますが、我が国の成人では出血発症が多いため、無症候例では用いるべきではない。外科的治療が自然経過に比べて将来の虚血や出血が有意に予防されたというエビデンスはありません。

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