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2022年2月28日

生体リズム障害と肥満症(その2)

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Ⅳ 生体リズム(概日リズム)の生理学的意義
 
概日リズムがあることの意義としては、昼夜変化に伴う環境変化に生体を適応させるためだと考えられています。例えば、日中の活動期に体温や血圧が上昇し、夜間に低下する基本的な日内変動を形成することや、1日3回の食事に備えた消化機能の亢進など、時間依存的に必要となる生理現象に対して、よいパフォーマンスを発揮するために備わっている機能と考えられます。概日リズムの乱れやズレは体に負担をかけることになり、海外旅行後の時差ボケや夜勤当直業務後の体調不良などは、私たちがよく経験することとして理解しやすいと思います。また、長期的な概日リズムの乱れが、肥満、メタボリックシンドローム、代謝異常の一因となっている可能性もあります。

Ⅴ シフトワークによる健康への影響
 
長期的な概日リズム障害をきたす代表例としては、看護婦、警備員、製造工場勤務者などのシフトワーカーが挙げられます。シフトワークが健康に与える影響に関して多くの研究が行われていて、肥満やメタボリックシンドロームのリスクを上昇させることが報告されています。
 シフトワーカーでは24時間の生理的変動である概日リズムのズレ、家族との生活パターンの不一致など社会生活への不適合、シフトワーク中の覚醒のための喫煙、シフトワーク後の就寝のための飲酒、定期的な運動習慣の形成が難しくなるなど、生活習慣に関する行動の変化などが肥満、メタボリックシンドローム、代謝異常の合併率の増加に関与すると思われます。
 また、睡眠と生活習慣病の発症との関連性が研究されていて、不眠が糖尿病、高血圧、心血管疾患などの発症を促進することが示されています。不眠だけではなく、睡眠時間も肥満、脂質代謝異常、虚血性心疾患などの生活習慣病と密接に関連していることが報告されています。シフトワーカーでは概日リズムとの同期に問題があり、すなわち、望ましい生活スケジュールに体内時計が同調できないために、希望する時刻に睡眠がとることができないなどで睡眠障害をきたすものと考えられています。

Ⅵ 時間時計異常と肥満・代謝異常
 
時計遺伝子に関する研究によると、CLOCK変調マウスでは過食を呈し、肥満、高血糖、脂質異常症、脂肪肝を来たし、BMAL1異常マウスでは脂質異常症や、膵β細胞数が低下して耐糖能障害を示すことが明らかにされています。遺伝性肥満糖尿病モデルマウスでは時計遺伝子発現レベルが低下してから代謝異常が発現することから、末梢時計の障害が代謝異常の原因として作用していると考えられています。また、明暗周期を変化させて概日リズム障害を惹起させたマウスでは、高インスリン血症と肥満をきたすことから概日リズム障害が代謝異常の原因となることも示されています。また、時計遺伝子発現異常が肥満の重症度、内臓脂肪面積,動脈硬化とも関連する可能性も指摘されています。
 

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