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2021年4月11日

男性更年期障害(LOH症候群)(その2)

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Ⅱ テストステロンの作用と生活習慣病(前項の続き)
 
LOH症候群は、原因により精巣性と中枢性に分類されます。精巣性では性腺刺激ホルモンLH、FSHが高値になり、中枢性ではGnRH分泌低下のため、あるいは下垂体障害のためLH、FSHは低値になります。臨床上最もよくみられるのは、LH、FSHは正常だがテストステロンが低いという場合で、ストレスが過剰な場合、加齢、糖尿病、癌、肝硬変、腎不全、甲状腺機能異常、低栄養、うつ病、病的肥満などの人でみられます。
 LOH症候群は、うつ病、性機能低下、認知機能低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDLの低下、コレステロール値とLDLの上昇に寄与し、メタボリック症候群の危険因子になります。LOH症候群には大うつ病の患者が含まれることが多いとされています。テストステロンが低いと活力と性機能が損なわれ、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。
 女性では閉経に伴いエストロゲンが急激に低下していきます。この更年期では様々な愁訴からなる更年期障害がみられます。この類比から男性でも更年期障害が病名として使用されています。男性における更年期症状は、身体症状、精神症状、性機能に関する症状に大別されます。
 精神症状としては、健康感の減少、不安、イライラ、うつ、不眠、集中力の低下、記憶力の低下、性欲の低下などがあり増す。身体症状としては、筋力低下、筋肉痛、疲労感、火照り、発汗、頭痛、めまい、耳鳴り、性機能低下、頻尿、早朝勃起現象の消失などがあります。

Ⅲ LOHの診断
 
日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会が加齢性腺機能低下症診療の手引きを作成しています。それによると血中フリーテストステロン値8pg/mlがLOH症候群に対してホルモン補充療法を開始する基準値とされています。国際的な基準値は300~320ng/mlとかなり高い値になっていますが、この差異は欧米白人では血中テストステロンが加齢に伴い減少していくのに対して、日本人ではテストステロン値は変化せずに、フリーテストステロン値が加齢に伴い低下することによるとされていますが、今後の更なる検討が必要なようです。

Ⅳホルモン補充療法の方法と効果
 
ホルモン補充療法の方法としては、経口剤、注射剤、皮膚吸収剤などがありますが、わが国では注射剤のみが保険適応となっています。通常2週間おきに125~250mgを筋注することで臨床効果が得られます。
 ホルモン補充療法で、筋肉量、筋力、骨密度、血清脂質プロフィール、インスリン感受性、気分性欲、健康感の改善が認められます。勃起不全についてはバイアグラなどの作用を増強します。ホルモン補充療法で前立腺癌が生じることは短期的にはすくないが、テストステロン低値の患者ではPSAが2.0ng/ml以上では注意が必要とされています(正常値は4.0以下)。
                                                

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