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2023年12月11日

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病(その1)

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Ⅰ はじめに 

米国国立衛生統計センターの報告によると、米国において一般成人人口における肥満(BMI30以上)の割合は、1999~2000年の30.5%から2015~2016年には39.6%まで増加しています。肥満を発症するリスク因子のーつとする閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome : OSAS)の有病率も同じ傾向を示していて、1993年の報告では男性約4%、女性約2%でしたが、2013年の報告では、男性10~17%、女性3~9%まで増加しています。我が国におけるOSASの有病率は欧米に比べて決して少ないというわけではなく、2004年に男性9%、2008年に女性2.8%と報告されています。我が国では、OSASの 標準的な治療法である(continuous positive airway pressure : CPAP)装置の処方数は約40万台に過ぎず、未だに約300~400万人のOSAS患者が潜在しているものと推定されています。
この20から30年における研究により、OSASが心臓血管疾患を発症させ、生命予後を悪化させることが明らかにされていることから、潜在OSAS患者を掘り起こすことは非常に重要といえます。OSAS発症の重要なリスク因子は肥満であることから、同じく肥満をリスク因子とする生活習慣病患者の中に多くのOSAS患者が存在すると予測されます。 

Ⅱ 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructi-ve sleep apnea syndrome : OSAS )とは
 
OSASは、睡眠中に上気道が完全にあるいは不完全に虚脱することによって、呼吸運動は継続されるものの、呼吸が停止あるいは減弱する疾患です。OSASでは、無呼吸低呼吸が持続すると、脳波上の一過性覚醒が生じることにより上気道虚脱が解除され、呼吸が再開するというエピソードを繰り返します。一般的に、OSAS患者は健常人と比べて、解剖学上気道径が小さいのですが、この原因として上気道周囲の軟部組織脂肪沈着、顎顔面形態、舌容積、扁桃肥大などが考えられています。ただし、覚醒中に上気道が虚脱しないのは、オトガイ舌筋を中心とした上気道開大筋群が吸気時の上気道内陰圧に対して代償的に活動性を高めているためですが、睡眠することでその代償能は低下するために上気道が虚脱するのです。 

Ⅲ OSASと心臓血管疾患 

OSASでは生命予後が悪く、とりわけ、重症OSASでは心臓血管疾患による死亡は睡眠呼吸障害を有しない症例と比べて約5.2倍高いとされています。OSASが心臓血管疾患を惹起する機序の解明を困難にしてきたのは、OSASに高頻度に伴う肥満という交絡因子の存在です。肥満を伴う生活習慣病が心臓血管疾患をもたらすと考えるのは容易ですが、OSASが直接的に心臓血管疾患を惹起するという機序が精力的な研究の結果明らかにされてきました。 
OSASが直接的に心臓血管疾患を発症させる機序としては、睡眠中に繰り返される無呼吸低呼吸に伴う生理学的変化、すなわち、低酸素と急激な再酸素化を繰り返す間歌的低酸素暴露、無呼吸中の呼吸努力による胸腔内圧変動、脳波上の一過性覚醒による睡眠分断などが考えられています。 

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