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2018年6月11日

突然死を防ぐ方法(その2)

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Ⅲ 人工呼吸について
 
 息をしていない人に人工呼吸するときに、口対口(マウス・ツー・マウス)が確実で簡単ですが、見ず知らずの人の口に直接口を付けるのは、エイズなどの病気を貰う危険性がありますので、一般的には勧められません。私たち医療従事者でも感染の危険を冒してまでも直接口をつける口対口の人工呼吸を行うという自己犠牲を強いる必要はないというのが現在の救急医学の考え方です。口と口の間に敷くシートを使うか、専用の道具を使います。しかし、全くの突発で手近に何もないときは、やはり直接口を付けるしかない場合もあります。

Ⅳ 心臓マッサージのコツ
 
 心臓マッサージを練習することは難しいのですが、コツは「強く・速く・絶え間なく」胸骨を圧迫することです。

1 「強く」とは
 強く胸骨を圧迫するとは、胸骨が4~5㎝下がる程度に圧迫するということです。176人の心停止患者に対してパラメディックや看護師が行う心臓マッサージで強さを測定した研究では、その60%で圧迫の強さが不足していて、強すぎた圧迫(胸骨が5㎝以上沈む圧迫)はなかったということでした。胸骨が骨折するくらいの強い力で胸骨を押す必要があります。

2 「速く」とは
 速く胸骨を圧迫するとは、約100回/分のテンポで圧迫するということです。一般市民(非医療従事者)の胸骨圧迫のテンポは遅くなる傾向があるため、「速く」ということが強調されています。

3 「絶え間なく」とは
 胸骨圧迫の中断が避けられないのは、2回の人工呼吸を行うとき、自発呼吸の有無を確認するときと、除細動で電気ショックを行うときです。何れの場合も許される中断時間は10秒以内です。しかし、実際の救急蘇生の現場ではこの中断時間が10秒以上になる可能性は非常に高いものがあります。動物実験では9秒間の胸骨圧迫の中断が蘇生の望みを絶つという成績があります。

4 胸骨圧迫と人工呼吸の回数
 胸骨圧迫と人工呼吸の比率は、従来は胸骨圧迫を15回行って、人工呼吸を2回行う、という方法が一般的でしたが、現在は胸骨圧迫を30回行って、人工呼吸を2回行う、という方法に変わりました。これは、胸骨圧迫の中断が生死を左右することに基づいた変更です。人工呼吸が不要というわけではありませんが、救急蘇生に不慣れな市民が行うと、2回の人工呼吸に平均16秒もかかるため、人工呼吸の回数を減らして胸骨圧迫の連続性を高める(中断を少なくする)のが目的です。

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