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2015年4月8日

糖尿病とはどんな病気か(1)

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Ⅰ はじめに

糖を含んだ甘い尿が出て元気がなくなり、だんだんと痩せていき、やがては衰弱して死んでしまう病気のあることは、古く紀元前から知られていました。東洋では糖尿病を「のどが渇いて、尿が近くなる病気」と昔から考えていましたが、西洋では、「甘い尿を出して、身体が溶ける病気」と理解していました。

しかし、昔の人々は糖尿病をひとつの原因で起こる病気であると考えていたために、糖尿病の歴史をみると、治療法を始めとして多くの混乱がみられます。ある時代では糖尿病の患者は肥満と食べ過ぎが原因なのだからと、極端な食事の制限が重視されましたし、別の時代になると体が溶けてその栄養分が尿にでてしまうのだからどんどん食事をとるのが正しい治療法だと説かれたりもしました。また、糖質(炭水化物)をとると血糖値が上昇するから、食事は脂肪を中心にとるほうがよいといわれていた時代もありました。糖尿病の研究と治療法が飛躍的に発展したのはインスリンの発見があってからですが、それも20世紀の始めのことで、約90年くらい前のことです。

Ⅱ 糖尿病治療の目標

インスリン発見以前の糖尿病患者の発病後の平均寿命は、「1型糖尿病(若年型糖尿病またはインスリン依存型糖尿病とも呼ばれていました)」患者で発病後約1年、「2型糖尿病(成人型糖尿病またはインスリン非依存型糖尿病とも呼ばれていました)」患者で発病後約5年という、短いものでした。従って昔は、糖尿病は死にいたる恐ろしい病気であり、治療目的の中心は、糖尿病の急性合併症(高血糖昏睡やケトアシドーシス)を如何に克服するかということでした。すなわち、如何に患者を少しでも長生きさせるか、ということが当時の糖尿病治療の大きな目標でした。糖尿病性慢性合併症(網膜症・腎症・神経症や動脈硬化症)は、その存在すら明らかでなかったために、余り注意が払われませんでした。ほとんどの糖尿病患者は慢性合併症が明らかになる前に亡くなってしまっていたのです。

糖尿病治療法が発達した現在では、糖尿病性昏睡等の急性合併症による死亡は殆どなくなり、糖尿病患者の平均寿命が健康な人に比べ、極端に短いということはありません。しかし、糖尿病患者の平均寿命は男女ともに、糖尿病でない人に比べて約10年短いという調査結果もあります。この原因は糖尿病に特有な慢性合併症にあります。患者が糖尿病に罹患している期間が長くなるにつれて、患者の予後や日常生活に大きな影響を与える慢性合併症の弊害の大きさが明らかになりました。このため、現在では、その予防法並びに治療法に注目が集まってきました。

糖尿病患者が健康人と変わらない、実り豊かな人生を送るための一番の障害となる慢性合併症の克服が、現在の糖尿病治療の根幹をなしています。同時に、糖尿病そのものに対する考え方も変わってきています。

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