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2016年2月1日

糖尿病とフードファディズム(その2)

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Ⅳ フードファディズムの問題点
 
 フードファディズムも、患者さん本人が信じて個人的に実行しているだけならば、実際の効果がなかったにしても、自己満足である限りは問題になりません。
 しかし、マイナス面が出てくると困ります。「ポリフェノールは体にいい。だから、ポリフェノールを多く含むチョコレートは体にいいのだから幾ら食べても大丈夫だ」ということで、チョコレートをたくさん食べてしまい、血糖値がとてつもなく上昇した例もあります。また、フードファディズムが商売と結びつく傾向があることも問題となっています。糖尿病の食事療法について十分な知識を持っていないお年寄りが、糖尿病に効くという理由で、通常よりも高い食材を買わされた例もよく耳にします。
 さらに、「治療効果がある」と宣伝してある食品を信じた利用者が、適切な医療を受ける機会を逸してしまうことも深刻な問題です。健康診断で糖尿病を指摘されても、食事療法を自己流に行い、正しい食事療法ではなく、「糖尿病によい食品」を漁って、治療のチャンスを逸し、著しい高血糖や合併症を発症してから外来を受診する患者さんに遭遇することも希ではありません。
  
Ⅴ 科学的に食品を見直す
 
 数多くの民間療法があり、種々の健康食品が売られていますが、それらの多くが科学的な方法を用いての理論的な裏付けがなされてはいません。「厚生省承認の特定保健用食品」についても、明確な裏付けがないものがたくさんあります。糖尿病はまさに食事そのものが治療の原点です。もっと科学的に食品を見直すべきなのではないでしょうか。
 残念なことに、医療関係者の中にもコマーシャリズムと結びついて、フードファディズムを積極的に宣伝したりして、この後押しをしている人々がいます。テレビやラジオ等のマスコミ情報に踊らされないで、少しでもおかしいと思う情報や、これまで聞いたことのない様な目新しい情報、さらには食品業者からの糖尿病にいいなどという情報などを耳にしたとき、あるいは積極的に勧められたときは、すぐに医師や看護婦、栄養士などに相談してください。
 「数多くの食品を、種類の異なる食品群から、幅広くとることによって、栄養素をバランス良く摂取する」ことを忘れずに、食事療法に励んで頂きたいと思います。明らかに体に毒となる食品はあっても、それだけ摂取していれば病気が治ったり、健康によいなどという都合のよい食品はないことを肝に銘じて下さい。

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