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2019年5月27日

糖尿病と骨代謝異常(その2)    

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Ⅱ 糖尿病状態での骨代謝異常の発症機序

 正常な骨では、骨形成と骨吸収は密接に関係しています。骨形成に必要な骨芽細胞と骨吸収に重要な働きをしている破骨細胞のバランスで骨代謝が決まっています。この骨芽細胞と破骨細胞のいずれもが糖尿病では影響を受けるのです。 
 
1 インスリン欠乏の影響
  
 インスリンの骨での主な標的細胞は骨芽細胞です。インスリンは特異的な受容体を持つ骨芽細胞の増殖・分化を促進して、骨基質の主成分であるⅠ型コラーゲンの産生や骨形成を促進します。また、インスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor-1:IGF-1)は骨芽細胞から分泌されます。このIGF-1には骨芽細胞の増殖や機能調整に重要な役割がありますが、1型糖尿病ではインスリンと共にIGF-1の産生も低下しています。また、インスリンは骨芽細胞を介して破骨細胞の形成を促進するために、インスリン作用低下により骨芽細胞と共に破骨細胞の形成も抑制されてしまします。これらのことから、糖尿病での絶対的および相対的なインスリン欠乏で、骨芽細胞の機能や数を低下させ低回転型骨粗鬆症が引き起こされるのです。
  また、インスリン欠乏状態ではビタミンD活性化酵素の活性が低下するために、腸管からのカルシウム吸収が低下します。またビタミンD活性化酵素が低下すると、腎臓や骨での骨代謝に重要な役割を持つ副甲状腺ホルモン(このホルモンは腸管や尿からのカルシウム吸収を促進したり、骨からのカルシウム動員(骨吸収)により低カルシウム血症を予防するという働きがあります)の反応性が低下するために、尿中からのカルシウム再吸収が低下して、生体でのカルシウムバランスが負となることで骨吸収が亢進することも知られています。 

2 高血糖の影響
  
 高血糖状態が持続すると、尿糖排泄が増加すると共に、尿中カルシウム排泄も増加するために、カルシウムバランスが負となるために、二次的に副甲状腺ホルモン分泌が増加する結果、骨吸収が亢進して骨塩量が低下します。この様な状態は、主に糖尿病発症早期もしくは血糖コントロール不良例に多くみられ、骨吸収亢進型の高回転型骨粗鬆症が発症します。

3 AGE(advanced glycation end-product):糖化タンパク形成
  
 AGEというのはタンパク質にブドウ糖が結合する反応により不可逆的なタンパク変成が起こった状態のことです。老化現象ともいえる反応で、老人斑などは皮膚のコラーゲンタンパクとブドウ糖が反応してできたもので、消えることはありません(不可逆的)。糖尿病ではAGEが盛んに生成されて様々な合併症を引き起こすとされています。糖尿病ではコラーゲン繊維のAGE化の促進により骨質が劣化するために、骨量非依存性の骨折率上昇が指摘されています。AGE化の促進で破骨細胞性骨吸収が促進されることが明らかにされ、糖尿病での骨基質のAGE化が骨代謝に関与していることが示されました。

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