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2019年5月20日

糖尿病と骨代謝異常(その1) 

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Ⅰ 1型および2型糖尿病での骨折リスクの上昇
  
 最近、糖尿病と骨折率との関係についてなされた多くの研究を解析した結果、1型糖尿病に比べて2型糖尿病での骨折率上昇は軽度ではあるものの、1型、2型共に糖尿病患者では骨折率が有意に高いことが明らかになりました。
 大腿骨頸部骨折リスクを調べた結果、1型糖尿病では6.3倍のリスクの上昇がみられたのに対して、2型糖尿病では1.7倍の骨折リスクの上昇が認められました。これまで、2型糖尿病ではむしろ骨折率は低下しているという報告もありましたが、2型糖尿病での骨折率リスクの上昇は、年齢、身体活動性、およびBMIを調整しても有意に高かったことから、糖尿病に罹患していること自体が骨折率を上昇させるようです。
 糖尿病での骨病変の原因として、インスリン欠乏状態、高血糖状態、骨基質の糖化(AGE)などが直接的な骨代謝阻害要因と考えられています。これらに加えて、血糖コントロール不良が長期間持続することによりおこる細小血管障害や大血管障害(動脈硬化症)による、局所への血液循環不全、神経障害・腎障害という糖尿病性慢性合併症の骨代謝に及ぼす影響などにより、糖尿病骨代謝異常を形成しています。

Ⅱ 1型および2型糖尿病の骨代謝異常と骨折リスク上昇の関係
  
 1型糖尿病での骨密度低下を予測する因子としては、血糖コントロール不良が原因の細小血管障害や大血管障害(動脈硬化症)の存在による影響が大きいとされています。 すなわち、網膜障害や神経障害は身体活動性を低下させ、易転倒性を引き起こします。
 糖尿病で骨密度低下が起こる機序としては、まずインスリン欠乏があげられます。インスリンには骨でのタンパク同化作用があるために、成長期に発症することが多い1型糖尿病患者では骨格の成熟障害が起こることで最大獲得骨量が低下します。骨代謝の最大の特徴は骨芽細胞機能不全ですが、これにはIGF-1の低下が大きく関与しています。また、1型糖尿病ではアミリンというインスリンと共に膵臓から分泌されるタンパクの欠乏も知られていますが、このアミリンは骨に対して直接的な保護作用があり、骨吸収を抑制して骨形成を促進させます。
  2型糖尿病患者には肥満が多く、骨密度と肥満度が正相関することと、骨粗鬆症と肥満度が逆相関することが知られています。肥満の増加による機械的な刺激による骨密度の上昇がその原因です。しかし、2型糖尿病では年齢、性、骨密度や転倒頻度などで補正しても骨折率の上昇が認められています。従来いわれていた転倒頻度の増加だけでは骨折頻度の上昇を説明できません。2型糖尿病では1型糖尿病でみられるようなインスリン欠乏やアミリン欠乏、IGF-1欠乏は認められません。このため、高血糖そのものに骨代謝への悪影響があるために骨折率の上昇がみられるとされています。

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