再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2018年3月5日

糖尿病のメガスタディ(その2)

0

Ⅲ DCCT研究
 
アメリカで行われた、1型糖尿病患者を対象にして血糖コントロールと合併症との関係を世界で最初に明らかにした研究として有名です。頻回インスリン注射法で血糖管理を厳格にしたグループと、一日一回ないし二回インスリン注射法の血糖管理が緩やかなグループで慢性合併症発症の差をみた研究です。この研究の結果、頻回インスリン注射法でHbA1cを6.7%以下にコントロールしていたグループの方が圧倒的に網膜症や神経障害などの細小血管障害合併症の発症率が低いことを明らかにしました。

Ⅳ Kumamoto研究
 
日本の熊本大学が中心に行った、熊本県在住でインスリン治療中の2型糖尿病患者を対象にして、血糖コントロールと合併症との関係を調査した研究です。この研究は我が国で初めての本格的なメガスタディとして有名です。この研究でも、HbA1cが6.5%未満の良好な血糖コントロールを維持すると、網膜症や神経障害などの細小血管障害の発症が低いことを明らかにしました。この研究とDCCT研究の結果をふまえて、糖尿病の血糖コントロールはHbA1c6.5%未満を目標とすることになりました。

Ⅴ UKPDS研究
 
英国で行われた2型糖尿病患者を対象にした調査研究です。この研究は、調査対象や約20年間という気の遠くなるような調査期間の長さの面で、他に類をみない規模の臨床研究です。さらにこの研究では、血糖コントロールのみならず、血圧管理も大切なことを明らかにしました。また、肥満した2型糖尿病患者の治療でのメトフォルミンという薬の有効性を明らかにした研究として、世界的に高く評価されています。じつはこのメトフォルミンという薬をアメリカ厚生省は危険な薬としてアメリカ国内での使用を禁止していたのです。このUKPDS研究の後の1995年にアメリカ政府はメトフォルミンの使用を許可し、現在ではアメリカで最もよく使われる薬になっています。

Ⅵ DECODE研究
 
これはヨーロッパで行われた研究です。この研究の目的は、アメリカ糖尿病学会が主張している、「糖尿病は空腹時血糖値が最も重要だ」という意見が本当に正しいのかどうかを検証する目的で行われた研究です。この研究で明らかになったのは、たとえ空腹時血糖値やHbA1cが正常値でも、食後に一過性にでも血糖値が200mg/dlを越えるような人は、心筋梗塞などの動脈硬化症になりやすいということでした。
 この研究結果が画期的だと評価されるのは、これまでのDCCT研究、Kumamoto研究やUKPDS研究などで分からなかった、HbA1cと動脈硬化症の間には何の関係もないことを明らかにしたためです。動脈硬化症を予防するためには、HbA1cばかりでなく、食後の高血糖もコントロールする必要性を初めて明らかにした研究でした。

Ⅶ Funagata研究
 
これは山形県舟形町の住民を対象にして行われた研究です。この研究でもDECODE研究と同様に、食後に一過性の高血糖になる人は、たとえ空腹時血糖値やHbA1cが正常値でも動脈硬化症になりやすいということを我が国で初めて明らかにした研究です。従って、人種に関係なく食後の高血糖が動脈硬化症に悪いことを明らかにした研究として、外国でも高く評価されている研究です。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日