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2018年2月26日

糖尿病のメガスタディ(その1)

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Ⅰ はじめに
 
昔、私が医学部の学生だった頃、名医は患者を一目見ただけで病気が診断できると言う伝説が流布していました。今は、このような個人の医者の経験と勘に頼った診断や治療をしてはいけないと言うことが世界的に受け入れられてきています。医学の世界もやっと科学の世界に入ってきたのです。
 このような経験と勘に頼らない医学を確立するために、科学的な根拠(エビデンス)を確立する必要があります。このエビデンスを確立するためには、何千人、菜万人という患者のデータが必要ですから、一人の医師の力では一生かかっても集められるものではありません。このため、地域や地方の医師会や病院が協力したり、日本の全国的な規模やアジアやヨーロッパという単位までの大規模な臨床研究(メガスタディ)が盛んに行われるようになりました。

Ⅱ 糖尿病のメガスタディが解明したいこと
 
糖尿病の治療・研究の歴史を振り返ってみると、昔はなぜ糖尿病になると体がやせていき、死んでしまうのかということが最初の疑問でした。これはやがて高血糖が犯人だということが分かるのですが、次に、ではなぜ高血糖になるのかということが問題になりました。これも膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足が原因だということが分かり、インスリン注射で糖尿病患者の症状が劇的に改善し、寿命も劇的に延びたのでした。ちなみに、インスリンが発見される1922年前の糖尿病患者の寿命は、1型糖尿病で発病後2年、2型糖尿病でもわずかに発病後5年という短いものでした。
 インスリンやいろいろな経口糖尿病薬が開発されている現在では、糖尿病患者さんの寿命がこのように極端に短いということはありませんが、糖尿病患者さんの寿命が延びるにつれて問題になってきたのが、網膜症、神経障害、腎症などの細小血管障害や心筋梗塞、脳梗塞という動脈硬化症です。なぜ、糖尿病患者でこのような余病が多く発症するのか、どうしたらこの余病の発症を防いだり、治したりすることができるのか、というのが現代の糖尿病治療の大きな関心事です。このために行われたメガスタディについて勉強してみましょう。

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