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2015年6月22日

糖尿病の急性合併症(その1)

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Ⅰ はじめに 
 糖尿病に特有な合併症には、糖尿病の罹病期間には関係なく、急激に発症してくる「急性合併症」と、糖尿病の発症と共に徐々に進行していき、糖尿病の罹病期間が長くなるにつれて、その症状が明らかとなってくる「慢性合併症」の2種類があります。
 通常、糖尿病性合併症というと「慢性合併症」のことを指しますが、直接命にかかわることの多い、「急性合併症」も日常の糖尿病治療上無視できません。
 「急性合併症」のことを「昏睡」と説明している教科書もありますが、「急性合併症」が必ずしも昏睡状態になるとは限りません。

Ⅱ ケトアシドーシス
 糖尿病でインスリンが完全に涸渇した重篤な状態では、生体はブドウ糖(グルコース)をエネルギー源として使えません。この時、私たちの体はグルコースの代わりに、皮下などに蓄えてある脂肪を分解してエネルギーとして利用します。この脂肪からエネルギーを作るときに、代謝の副産物としてケトン体が生じます。少量のケトン体は呼気や尿の中に排出されますが、ケトン体が大量に生産されてこの排出能力を越えると、酸性物質であるケトン体が血液中に過剰に貯まり、血液は酸性に傾きます。この状態をケトン体(ケト)による酸性状態(アシドーシス)、即ちケトアシドーシスといいます。
 私たちの体は通常pH7.4前後の弱アルカリ性に保たれています。体内環境が酸性状態になると、正常な細胞機能は維持できなくなり、やがては細胞死から全身の死へと至る、非常に危険な状態になります。
 ケトアシドーシスは、インスリン分泌が全くない1型糖尿病に発症することが多いのですが、2型糖尿病でも、ペットボトルの清涼飲料水の飲み過ぎによる過剰な糖質摂取によるケトアシドーシスがあります。これをペットボトル症候群あるいはソフトドリンク・ケトーアシドーシスといいます。
 単純なインスリン注射の打ち忘れなどよりも、肺炎などの感染症にかかり、高熱のために脱水になり、食事が十分にとれないからと勝手にインスリン注射を止めてしまうなどのことからケトアシドーシスを発症することが多いようです。 
 自覚症状には、体のだるさ、異常な口渇、多尿、脱水による急激な体重減少、頭痛、息切れやアセトン臭い息など様々なものがありますが、最も多い症状は吐き気と腹痛です。このため、胃腸科を受診したり、胃腸風邪と間違えてしまうことがよく見受けられます。ケトアシドーシスで昏睡になることはほとんどありません。
 入院による治療が絶対に必要で、正しい治療を受けないと、確実に死に至ります。風邪などで高熱が出て食事が十分にとれないときは直ちに主治医に連絡して指示を受ける必要があります。

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