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2019年7月8日

糖尿病の病型と運動療法(その1)  

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Ⅰ はじめに
 糖尿病患者さんにとって運動はインスリン感受性(インスリンの働き)をよくして、血糖値の低下をもたらします。しかし、運動はその種類や方法で、その効果が異なるほかに、1型、2型という糖尿病の病型により運動の意義も異なるのです。

Ⅱ 2型糖尿病での運動療法

1)運動の種類
 運動の種類は有酸素運動とレジスタンス運動に大別されます。有酸素運動として代表的なものは歩行運動です。有酸素運動は骨格筋のインスリン感受性を亢進させて、血糖値を低下させます。この血糖値を低下させる効果は、運動しているときばかりでなく、運動後もおよそ24~48時間くらい持続します。この他に勧められる有酸素運動として自転車があります。自転車は消費エネルギーが歩行とほぼ同程度であることや、膝関節痛があるときなどでも行えるという利点があります。但し、自転車で移動すると歩くよりも単時間で目的地に着いてしまうため、総運動量が少なくなるという欠点があります。このため、歩いてもいける距離ならば、自転車ではなく歩行運動を行うようにすべきでしょう。

2)歩行運動はどのように行うのがよいのか
 
歩行は、日常生活でも通勤や買い物など頻繁に行う運動です。そのため、その様な日常生活で行う特別に意図しない身体活動が運動として重要なのか、あるいは運動として意図して行う身体活動の方が重要なのかという点に関して、これまでの研究では不明な点が少なくありませんでした。最近の研究では、意図しない身体活動によるエネルギー消費(日常生活内での活動:通勤や掃除など)が肥満やインスリン抵抗性に関連することが明らかにされてきました。
 1日の総エネルギー消費量は安静時基礎代謝量+熱産生量(放出量)+身体活動によるエネルギー消費量からなります。身体活動によるエネルギー消費量はさらに、意図した身体活動によるエネルギー消費量(いわゆるスポーツ)と意図しない身体活動によるエネルギー消費量(日常生活での活動:通勤や掃除など)(NEAT:non-exercise activity thermogenesisi)のふたつに分類されます。具体的には、仕事で体を多く動かすと、家事や通勤での駅までの徒歩もNEATの範疇に含まれます。このNEATが肥満に与える影響を調べた研究によると、やせた対象者では肥満した対象者に比べて、座っている時間が164分短く、立っているか働いている時間が1日152分多かったことが明らかになりました。この差は、もし肥満した人がやせた人と同様の活動量であると仮定すると、1日352kcalを余分に消費できる計算になりました。さらに、身体活動とインスリン抵抗性の関連について調べた研究では、1日のトータルの身体活動量はインスリン感受性と正比例したとのことです。この他にも、インスリン感受性は軽度の身体活動や運動強度と正比例し、余り動かない時間に反比例しました。しかし、これらの比例関係はトータルの身体活動量で補正すると有意差が消えてしまいました。これらのことから、NEATを含めたトータルの身体活動量がインスリン感受性を規定する重要な因子であることが明らかにされました。

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