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2020年2月24日

糖尿病性黄斑症について(その2)

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Ⅲ 糖尿病黄斑症
 糖尿病黄斑症は、上記の糖尿病網膜症の進行過程で、網膜血管の変化と硝子体の変化が複合して発症します。一般に、(1)黄斑浮腫、(2)虚血性黄斑症、(3)網膜色素上皮症の病型に分けられますが、これらはお互いに独立したものではなく、病型が移行したり、同時に複数が混ざり合ったりします。近年眼科領域では光干渉断層計(OCT)の登場とその急速な解像度の進歩によりOCTを用いた画像診断が広く行われるようになりました。糖尿病黄斑症の中でも、特に黄斑浮腫の診断にはこのOCTは必須の検査なのです。

1)糖尿病黄斑浮腫
 糖尿病黄斑症のなかで最も頻度が高く、単純網膜症の3~38%、増殖網膜症の71%にみられます。糖尿病黄斑浮腫は、さらに局所性黄斑浮腫、びまん性黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫に分類されます。

(1)局所性黄斑浮腫
 主に毛細血管瘤の透過性亢進によって起こる局所性浮腫です。この毛細血管瘤から漏出した血漿成分のうち、吸収されずに貯留する血漿蛋白やフィブリンは硬性白斑となり、より強力な視力障害を引き起こします。

(2)びまん性黄斑浮腫
 毛細血管瘤からの漏出に加えて眼底の局部の毛細血管や網膜細動脈からの漏出により生じる黄斑全体の浮腫のことです。

(3)嚢胞様黄斑浮腫(Cystoid Macular Edema:CME)
 網膜の中の外網状層、主にHenle線維層に嚢胞腔が形成される状態です。この糖尿病黄斑浮腫はOCTで簡単に診断できます。その所見としては網膜膨化、嚢胞様変化、漿液性網膜剥離、硬性白斑の沈着、肥厚した後部硝子膜や黄斑上膜の黄斑部の牽引、増殖膜による牽引などがあり、これらの所見が混在して観察されます。

2)虚血性黄斑症
 黄斑部の網膜血管の閉塞による虚血性変化が現れ、視力低下をきたす黄斑症です。増殖前および増殖糖尿病性網膜症の時期に生じます。初期は、血管閉塞は血栓形成の状態ですが、この血栓形成部の血管壁構成細胞はやがて変性、消失して、内腔は周囲から進入したグリア細胞に占められ、不可逆的な血管閉塞に至ります。一般に視力予後は不良です。

3)糖尿病網膜色素上皮症
 糖尿病網膜症以外の網膜疾患がなく、後極部に網膜色素上皮の変性がみられる黄斑症のこと。高度な黄斑浮腫が長期間遷延したときにみられることが多い。浮腫による二次障害と考えられています。                                                  

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