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2022年6月27日

脂肪肝を防ぐ食事療法(その2)

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Ⅲ NAFLDについて
  
脂肪肝を伴う非飲酒者を肝硬変への移行リスクが高い非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)と移行リスクが比較的少ないとされる非アルコール性脂肪肝(non-alcohplic fatty liver:NAFL)に分類することができます。
 日本人の脂肪肝の有病率は約三割で、男性が女性よりも高率です。検診受診者を対象にした研究によると、日本人の2~3%はすでにNAFLDに罹患していて、非飲酒者の2%強では比較的進展した肝線維化を伴っている可能性が示唆されています。
 NAFLDを放置すれば徐々に肝臓の線維化が進展することが知られており、肝臓の線維化の程度が強ければ肝硬変への移行が生じやすいことは容易に想像できます。肝機能障害の指標であるAST(GOT)やALT(GPT)が正常値を示すNAFLD症例は多数存在するため、NAFLとNASHを鑑別する指標としてASTやALTを用いることはできませんが、その正常化はNASHの予後を改善するうえで果たすべき最初の一歩と考えられています。

Ⅳ 脂肪肝の発症機序と解消に向けた基本的な方策
 
脂肪肝とは多数の肝細胞内に過剰の中性脂肪が貯留した状態をいいます。肥満に伴う脂肪肝では皮下脂肪と内臓脂肪の過剰蓄積を伴うことが多く、肝臓に蓄積した脂肪の14.9%は食事由来、26.1%は肝臓で合成された中性脂肪由来、59.0%は血中の遊離脂肪酸由来とされています。
 腸管由来のカイロミクロンの源は食事に含まれる中性脂肪です。食事で摂取された脂肪は膵臓から分泌された脂肪分解酵素である膵リパーゼにより分解され、腸管から吸収され、カイロミクロンとしてリンパ管を経て,静脈から大循環に流入します。このカイロミクロンは末梢血管内皮のヘパリン結合蛋白に結合しているリパーゼで分解されて、産生された遊離脂肪酸は末梢組織で利用されます。末梢血管内皮のリパーゼは肝細胞から分泌されるので、食事性の脂肪が肝細胞に流入するのは末梢血管内皮のリパーゼが分解できないほど過剰な量のカイロミクロンが血中に存在する場合に限られます。この50年間に日本人の脂肪摂取量は劇的に増加しているため、脂肪制限食の有用性に対する期待は大きいものがあります。
 また、食後に肝臓で合成・放出されるVLDLは食事由来の糖質が原料となります。このため、脂肪制限食と共に過剰な糖質摂取も控えるべきでしょう。
 肝臓に沈着する中性脂肪の最大の供給源は血中の遊離脂肪酸プールです。脂肪組織から脂肪酸が放出されるのは血中インスリンの低下する夜間で、脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は肝臓に流入します。この遊離脂肪酸プールを提言する効果を持つことで過栄養性脂肪肝に有効とされている唯一の薬物療法として,チアゾリジン誘導体(ピオグリタゾン:アクトス錠)があります。

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