再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2020年6月28日

腎硬化症について(その1)

0

Ⅰ はじめに
 
糖尿病患者さんが尿検査で尿タンパク強陽性が持続していて、血液検査で腎機能の指標となる血清クレアチニン値が高くなると、糖尿病性腎症が進行しています。一般的には、クレアチニン値が5mg/dl以上になると血液人工透析が必要になるといわれています。
 これに対して、尿検査で尿タンパクが陰性なのに、血液検査で血清クレアチニン値が高い人がいます。この様な人の腎臓は、糖尿病の血糖コントロールが不良で腎病変が進行した結果発症する糖尿病性腎症ではありません。動脈硬化症や高血圧症が原因で起こる腎動脈および腎細動脈の硬化病変である「腎硬化症」なのです。

Ⅱ 腎硬化症の分類
 
腎硬化症は、①高齢者によくみられる動脈性腎硬化症、②高血圧症の罹病期間が長い人に見られる良性腎硬化症、③悪性腎硬化症に分類されますが、悪性腎硬化症は高血圧治療の進歩により今日では激減しています。

Ⅲ 腎硬化症の成因

①動脈性腎硬化症
 高脂血症、血液凝固異常、糖尿病、高血圧などの結果生じるアテローム性動脈硬化や加齢現象が原因で起こります。

②良性腎硬化症と悪性腎硬化症
 高血圧が原因で起こる腎の細小動脈病変で、軽・中等症本態性高血圧症が持続することで起こる病変が良性腎硬化症で、悪性高血圧症が原因で起こる病変が悪性腎硬化症です。
 本態性高血圧症は遺伝的な素因と環境因子で発症し、交感神経系、血管の反応性、腎排泄機能、循環血液量、血液粘性、食塩摂取量、などが複雑に絡み合って発症すると考えられていますが、最近は腎臓内の最小動脈の収縮異常が重要だとする考えも有力です。糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎などでも高血圧が持続すると腎硬化症になります。
 悪性腎硬化症は高度の高血圧症が原因で、腎の最小動脈に壊死などの強い病変が起こることで高血圧症が更に進行して、血漿タンパク成分などが細動脈壁に沈着して進行します。

      悪性高血圧症の臨床診断基準

1 最低(拡張期)血圧が治療前に常に130mmHg以上
2 眼底に動脈硬化性変化がある
3 急激に進行する腎機能障害を示し、放置すれば腎不全になる
4 全身症状の急激な増悪を示し、血圧・腎機能の増悪とともに脳症状、心不全症状を伴うことが多い

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日