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2017年12月17日

膵島移植について(その1)

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Ⅰはじめに
 
 臓器移植は不治の病と考えられていた疾患に対する究極の治療法として行われてきました。肥大性心筋症、劇症肝炎、肺梗塞などという、これまでは座して死を待つしかなかった病気の患者さんに、生きる希望を与える治療法として盛んに行われるようになりました。
 糖尿病の臓器移植の目的は、インスリン分泌機能の欠陥を補うことで、インスリン注射や内服治療を不要にして、患者さんを慢性合併症の危険から解放して、糖尿病を治してしまおうというものです。死に至る病から生還のために移植するという目的ではありません。
 したがって、膵臓移植は患者さんが生きていくためには、絶対に必要な治療法というものではありません。このため、膵臓移植では安全性と確実性が最優先されています。
 これまで膵臓移植は膵臓全体を移植する方法が主に行われてきましたが、残念なことにその成績は、腎臓移植などに比べると決して良いものではありませんでした。実は膵臓移植は臓器移植の中でも技術的に非常に難しい移植として有名なのです。
 
Ⅱ膵臓移植は難しい
 
 膵臓移植を難しくしている原因は、その解剖学的な特異性にあります。膵臓という臓器は動脈や静脈などの血管の走行がとても複雑にできていて血管縫合が難しいということに加えて、インスリンやグルカゴンなどというホルモンを分泌するという内分泌腺としての機能をもつ細胞と、食物を消化するための消化酵素を分泌するという外分泌腺機能をもつ細胞の2つの異なる機能を持つ細胞が混在しているため、内分泌機能を持った部分だけを分けて移植できないという困難さがあるのです。
 このため、膵臓移植のときに解決しなければならない問題は、外分泌腺機能(消化酵素を作る機能)を抑えながら、内分泌機能(インスリンを分泌する機能)を維持するという、非常に難しい問題を解決しなければならないのです。
 したがって、膵臓を移植する場所も大きな問題でした。心臓とか肝臓の移植は、その臓器の本来あるべき場所に移植しますが、腎臓とか膵臓の移植場所はそうとは限りません。血管縫合がしやすい場所がえらばれます。膵臓の場合は外分泌腺(消化液)を排出するために、膀胱に移植したりしていましたが、あまり上手くいきませんでした。

Ⅲ膵島移植とは
 
 この問題を解決する方法として考えられたのが、膵臓の中で内分泌機能を持ったランゲルハンス氏島だけを分離して移植するという、いわゆる膵島移植という方法です。
 膵島移植は1970年代にアメリカで開始され、2000年にカナダのアルバータ大学から高い成功率が報告されてから、世界各地で盛んに行われるようになりました。我が国では、2004年4月7日に京都大学で第一例目の膵島移植が行われました。

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