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2017年12月27日

膵島移植について(その2)

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Ⅳ 膵島移植の適応となる患者の条件
 
 現在の所、我が国の膵島移植を受けることができる糖尿病患者の条件は生命の維持にインスリン注射が必要不可欠な1型糖尿病に5年間以上罹患していて、糖尿病の専門医がインスリン強化療法を6ヶ月以上行っても、血糖コントロールが極めて不安定な症例に限られています。
 また、膵島移植は、移植後に拒絶反応を抑えるために免疫抑制薬の内服が必要となります。免疫抑制薬の副作用には、口内炎、下肢の浮腫、白血球減少、高脂血症、高血圧などがあります。これらの副作用のほとんどはコントロール可能ですが、この副作用のため、現時点では小児は膵島移植の適応から外されています。
 糖尿病に特有な慢性合併症である、網膜症や末梢神経障害がある患者さんでも膵島移植はできます。ただし、腎症が進行して腎不全になっている患者さんでは、膵臓と腎臓を同時に移植する膵腎同時移植か、先に腎臓を移植してから膵島移植を行うのが一般的です。また、腎機能が極端に低下した患者さんへの膵島移植は、免疫抑制薬が腎症を悪化させる可能性がありますので、推奨されません。

Ⅳ 膵島移植の実際
 
 膵島移植は低血糖を起こすことなく、良好な血糖コントロールを維持することが目的ですが、インスリン注射からの離脱も可能です。欧米の脳死ドナーからの膵島移植例でみると、通常2~3回の膵島移植を行うとインスリン注射が不要となるとのことです。
 欧米では、膵島移植後の生着率は1年後、そして3年後も90%以上だと報告されています。膵島が正嫡している患者の血糖コントロールは安定しています。また、インスリン注射からの離脱率は1年後で約80%で、3年後では約50%とのことです。移植に関連した死亡、発ガン、重症感染症の報告はなく、患者生存率は100%でした。

Ⅴ 我が国の膵島移植の問題
 
 我が国では、膵島移植は臓器移植法の対象外のために、脳死ドナーからの臓器提供が受けられません。このため、心臓死ドナーおよび生体ドナーからの移植が実施されているのが現状です。
 心臓死ドナーから良質な膵島細胞を得ることが難しいため、これまで欧米ではあまり行われていませんでした。京大方式という新しい分離方法を開発した京都大学の移植チームが心臓死ドナーからの膵島移植を成功させて。世界の注目を集めています。より多くの患者さんが安全で確実な膵島移植の恩恵に預かれる日が早くくるといいですね。

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