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2020年11月30日

認知症up to date(その2)

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Ⅳ 認知症発症の危険因子

1 高血圧

高血圧は動脈硬化の強力な危険因子です。そこで久山町高齢者の追跡調査成績から老年期および中年期高血圧と認知症発症との関係を検討してみると、脳血管性認知症発症の相対危険は中年期血圧レベルと老年期血圧レベルと密接な関係が認められたのに対して、アルツハイマー病には認められませんでした。海外での同様の調査でも老年期の高血圧とアルツハイマー病発症との間に有意な関係を認めた報告はありません。
久山町の成績は、老年期のみならず中年期からの厳格な高血圧管理が、老年期での脳血管性認知症発症の予防に極めて重要であることを示しています。

2 糖尿病

最近、海外の追跡調査から糖尿病が認知症発症に関係しているとの報告がなされるようになりましたが、いまだ結論は得られていません。
久山町の健診で75gブドウ糖経口負荷試験を受けた60才以上の久山町住民を15年間追跡した調査成績では、脳血管性認知症は境界型糖尿病のレベルから、アルツハイマー病では糖尿病レベルから、それぞれの発症率は上昇していました。糖尿病および高血糖は、動脈硬化や微小血管病変の促進、糖毒性の亢進、インスリン代謝の障害などを介して認知症のリスクを高めると考えられていますが、特に食後高血糖が重要な役割を果たしているようです。

Ⅴ 認知症の予防

久山町研究では脳血管障害性認知症の発症には高血圧と糖尿病が、アルツハイマー病には糖尿病が密接な関係があることが明らかにされましたので、これらの病気の治療を厳格に行うことがこれらの認知症の発症予防に有効であることは想像に難くありません。
これまでの研究で、アルツハイマー病などの認知症の予防に有効とされるのは、
                   
1 2型糖尿病の良好なコントロール
2 高血圧と脂質異常症の改善
3 望ましい体重の維持
4 社会交流と知的な活動
5 運動の習慣
6 果実と野菜の多い健康的な食生活
7 禁煙
8 うつ病の治療

などが挙げられています。
これ以外に認知症の予防に有効と考えられているものに地中海式ダイエットとアルコールがあります。これは、①多量の野菜、豆類、果物の摂取、②不飽和脂肪酸を含むオリーブ油の摂取、③比較的多めの魚の摂取、④乳製品摂取は少なめ、⑤牛肉・鶏肉の摂取は少なめ、⑥中等量のアルコールを規則的に摂取(主に赤ワインを食中に)、という特徴を有しています。             

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