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2026年9月28日

超高齢化社会と難聴(その1)

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Ⅰ はじめに
 人間の機能は多様で、生命に直結するものもあれば、社会生活に必要なものもあります。聴覚は社会生活を送るうえで極めて重要な機能で、かつてヘレン・ケラーは自らの障害のうちどれか一つを取り戻すことができるのなら、聞こえるようになりたいと考えていたそうです。
 超高齢化社会では聴覚は重要性を増しているといえます。人間は40歳頃から聴力の衰えが始まるといわれていますが、加齢による聴力低下に加えて、様々な障害により、わが国では65歳以上の1,600万人が難聴とされています。2021年の65歳以上の高齢者人口は約3,640万人ですので、その約45%が聴力障害をきたしていることになります。聴力障害はコムニケーション障害に直結し、それはうつ病や認知症の発症要因または増悪要因となりますので、ことさら高齢者にとっては大きな問題となります。

Ⅱ難聴の病態
 難聴には外耳および中耳に原因がある伝音難聴と、内耳および中枢に原因がある感音難聴、さらに両者が混ざった混合性難聴があります。伝音難聴の原因には、外耳道の閉塞(外耳道閉塞や耳垢など)、中耳伝音系の振動障害(鼓膜穿孔、耳小骨連鎖離断や硬化など)があります。感音性難聴の原因は内耳障害および内耳神経障害で、脳そのものに原因があるのは皮質聾などの特殊な病態に限られます。
 加齢に伴い発症する難聴の特徴である「内耳障害に伴う感音難聴」について解説します。

1)加齢
 加齢は難聴進行の最も大きな原因であり、高音域から聴力低下が始まり徐々に会話領域と呼ばれる500~2,000Hzの音域へと進行していきます。2021年に報告された10~99歳を含む日本人10,681人の平均聴力データによると、緩やかであるものの20代、30代でも高音域の聴力低下が始まっていること、高音域から会話音域にかけての聴力低下は女性よりも男性の方が進行が速いこと、低音域での聴力低下は70代以降では男性よりも女性に目立つことが明らかにされています。
 加齢による難聴の進行速度およびパターンは個人差が大きいことが知られていて、それは遺伝的な影響が25~75%を占めるといわれていますが、それに加えて様々な後天的な要因が複雑に組み合わさるものと考えられています。

2)遺伝的な影響
 難聴に関する病態の解明で、21世紀に入って最も進歩を見せた領域が遺伝的な影響です。内耳機能を担うタンパク質をコードする遺伝子の変異により、タンパク質機能が損なわれることで内耳機能が低下して、難聴が発症する仕組みは、先天性および若年発症の難聴家系に対する解析の積み重ねにより明らかにされてきました。さらに、先天性難聴の原因遺伝子やその他の遺伝子で、加齢性難聴を加速させる遺伝子変異が多数報告されています。

(この項続く)

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