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2018年9月18日

運動と癌予防(その1)

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Ⅰ はじめに

 近年、我が国では高齢化現象も加わって、癌患者数が著しく増加しています。年間30万人の癌死亡数とその倍に当たる60万人の癌患者数を我が国の癌統計は示しています。当然のことながら癌は全死因のトップで、男性の3人に1人、女性の4人に1人は癌で死んでいることになります。
 癌の主な発病要因として、偏った食生活習慣、喫煙習慣、慢性感染症などがあげられますが、最近はストレスや運動不足もその原因として注目されてきています。
 今から十数年前から、アメリカの研究者が運動不足の人達は大腸癌のリスクが高くなることを指摘していました。その後に、適度な運動が発ガンの危険度を下げるという動物実験の結果も報告されたため、人間でも同じように運動と癌の関係を調査研究されるようになりました。

Ⅱ なぜ運動すると癌危険度が低下するのか
 
なぜ、運動すると癌の危険度が下がるのでしょうか。
 高カロリー食や高脂肪食を続けていると肥満になります。一方、運動不足が続くと、膵臓から分泌されるインスリンへの人間の体の組織の感度が低下するために、この感度の低下を補うためにインスリン分泌が亢進します。インスリンは成長因子でもありますから、インスリン分泌が高まると、組織の細胞増殖を亢進させるためにガン細胞が発生する頻度が高くなります。次に、運動不足で体の脂肪組織の量が増加しますが、この脂肪組織は発癌物質を蓄積しやすいために、癌の危険度が高まるとされています。
 そこで、持続的な運動習慣により体組織の脂肪を燃焼して、肥満を解消することが癌予防にも効果があるということになるのです。
 さらに、私たちの細胞免疫を司るナチュラルキラー細胞は、適度な運動で増加するため、癌に対する免疫機能が高まるために、運動は免疫機能を介して間接的にも癌の危険度を低下させているのです。

Ⅲ 運動の頻度と生活習慣の特徴
 
愛知県がんセンター病院が行った調査によると、約半数の患者さんは運動しないと回答しています。一方、週2回以上習慣的に運動していると答えたのは、男性の16%、女性の13%でした。
 また、男性で運動習慣のある人は、毎日生野菜や果物を摂取している人が多く、逆に毎日20本以上の喫煙習慣のある人や塩分を好む人は少ないという結果でした。女性でも同様な結果が示されていて、一般的に定期的な運動習慣のある人達は、全体的に健康意識が高く、それが一般の生活習慣にも反映されていることが伺えました。 

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