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2018年8月26日

運動中の水分補給について(その2)

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Ⅳ 体液と水分補給
 
 私たちが水分をとる行動には、調節的飲水と二次的飲水の二つがあります。
 調節的飲水は脱水状態になったときの口渇により生じる飲水行動のことで、二次的飲水は食事や嗜好品とともに水分を摂取する飲水行動のことです。ヒトの場合では発汗や下痢などによる脱水時以外は二次的飲水が主で、経験や好み、さらには心理的要因に基づいて、必要量より幾分多めの水分を摂取し、この過剰分を腎臓から排泄してバランスをとっています。
 一方、調節的飲水は大量発汗や下痢などによる脱水時にみられる体液量調節反応としての飲水行動で、二次的飲水とは区別して考えなければなりません。大量発汗、水分摂取制限、塩分の多い食事などで血液ないしは細胞外液の浸透圧が上昇して、細胞外液との浸透圧の差により細胞内から水が引き出されるために生じます。

Ⅴ 発汗と水分の補給
 
 ヒトでは、発汗により脱水が生じた後に自由に引水させても、直ちに脱水量に相当する水分量を摂取することがなく、一般的にはその後の食事などとともに脱水を回復します。この脱水回復の遅れを自発的脱水と呼びます。
 この自発的脱水が起こる理由は、発汗時の水分補給には汗から失われたイオンの補給が必要であり、水分のみを摂取すると血液が希釈されてしまい結果としてイオン濃度の低下を招くからです。この危険を回避するため、私たちの体は体液の浸透圧を一定に保つために口渇感および飲水を停止すると同時に、尿からの水分排泄を増加してイオン濃度を維持するメカニズムがあるのです。

Ⅵ 体液と暑熱障害
 
 私たちの体は脱水の程度に応じて種々の症状を示します。脱水で1%体重が減少すると、直腸温は約0.3℃上昇し、心拍数も5~10拍/分増加します。脱水が4~6%になると、血漿量、唾液分泌量、尿量が減少して、血液の濃縮、心拍数、呼吸数、体温の上昇および口渇が著名になります。5~10%の脱水は精神身体機能の低下をきたし、脱水がさらに高度になると直腸温は直線的に上昇し、循環不全、昏睡をきたし死に至ります。

Ⅶ 加齢と水分代謝
 
高齢者では体液水分量の減少、腎機能の低下による水分および塩分喪失量の増加、口渇感の低下による水分摂取量の減少、水分代謝ホルモンの分泌低下、基礎疾患や薬物の摂取などにより脱水傾向にあり、また体温調節反応も低下しているので特に運動時には脱水に対する注意が必要です。

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