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2021年6月13日

運動療法のメカニズムとその実際(その3)

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Ⅳ 身体活動には「運動」と「生活活動」がある
 
それでは、具体的にどのような運動をすればよいのでしょうか。まず、その前に運動とはいったい何かをもう一度考えてみたいと思います。
 体を動かすことを身体活動といいますが、そこにはいろいろなものが含まれています。例えば、”今日買い物で駅まで歩いた”、”いろいろなお店を回って沢山歩いた”。この様に生活の中での活動を「生活活動」といいます。その一方で、”糖尿病を良くするために、今日は30分歩いた”、というような、健康状態を良くするために行う身体活動を「運動」といいます。
 糖尿病が増えた原因は、恐らく運動量が減ったというよりも、生活活動量が減ったことが原因と推測されています。また、活動量が同じ量であれば、「運動」でも「生活活動」でも、血糖値を下げる効果はほとんど同じであろうと考えられます。

Ⅴ どのような運動がよいのか
 
それでは、どのような運動を行えばよいのでしょうか。一番簡単にできる活動として、誰でも何処でも、一人でもできる歩行がお勧めで、やや速歩で行うとより効果的です。強さとしては息が切れるか切れない程度、話しながら続けられる程度が適当です。
 ただ実際には、時間がなくてなかなか運動できない、と考えている人が多いと思います。その様なときには、次の質問に答えてみればいいのです。
 ”あなたは一日何分位なら、運動できますか?”
 多くの人は、一日20分位なら、と答えます。実は、毎日20分しっかり運動する運動量を上乗せすると、HbA1cはおおよそ0.5~1%程度低下することが、最近の研究で明らかとなっています。糖尿病の治療薬が1剤増えることと、一日20分運動することのどちらを選びますかという問いに答えることは、簡単なことではないでしょうか。
 また、歩数を上げるには歩数計を付けるのが効果的で、付けるだけで2,500歩程度歩数が増えることが、最近の研究で明らかになっています。これは、毎日体重計に載ると体重を気にして生活習慣に気をつけるようになるのと同様に、毎日歩数を自分で確認すると自然と歩数が増えるようになるようです。
 具体的な歩数の目安としては、第1段階では前述のようにHbA1cで0.5~1%程度の低下が期待される、今よりもプラス2,000歩を目指すのが良いでしょう。最終的には、一日トータルで8,000~10,000歩を目指すようにします。
 「歩行」は買い物や通勤の中でもできる活動ですから、少しずつでも歩数を増やすようにします。30分以上といったように必ずしも連続で歩く必要はないことが分かってきており、細切れでも良いので、トータルで何歩歩いたかを指標にして下さい。
 また、運動療法の効果の確認として、HbA1cをみていくとともに、運動の急性効果として、運動後に直ぐ血糖値が下がることを確認しても良いでしょう。             

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