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2021年3月8日

非アルコール性脂肪性肝疾患(その1)

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Ⅰ はじめに
 
明らかな飲酒歴がないにもかかわらずアルコール性肝障害に似た肝病理を特徴とする肝障害を非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)と呼びます。糖尿病に随伴する高血糖、インスリン抵抗性、脂質異常症はNAFLDの病理を増悪します。逆に、肝臓はエネルギー恒常性維持に中心的役割を演じているため、脂肪化した肝臓が更なる代謝異常を形成している可能性もあります。従って、慢性肝疾患の進行を食い止め肝機能を温存させるためにも、また全身の代謝異常是正のためにも、肝臓を脂肪化させないことが重要になってきます。

Ⅱ 糖代謝の司令塔としての肝臓
 
肝臓は糖の吸収と産生を担う臓器で、糖代謝の司令塔として臓器間ネットワークに中心的役割を果たしています。肝臓からの糖産生は肝臓に貯蔵されているグリコ-ゲンの分解と糖新生によって担われています。門脈血中に分泌されたインスリンは、最初に肝臓からの糖新生・グリコーゲン分解を抑え、肝臓でのグリコーゲン合成を促進します。肝臓は更に、骨格筋由来の乳酸・ピルビン酸や糖原性アミノ酸であるアラニン、脂肪細胞中の中性脂肪の分解によってできたグリセロールを材料として、グルコース(ブドウ糖)を合成します。このことを糖新生といい、肝臓が7~8割、腎臓が1~3割担当しています。2型糖尿病患者の食後高血糖には、高インスリン血症でも是正できない肝臓の糖新生抑制不全が寄与しています。インスリン標的臓器の中でも、骨格筋および脂肪組織でのインスリンシグナルを同時に遮断すると、強いインスリン抵抗性が形成されますが、高血糖にはなりません。これに対して、肝臓だけのインスリンシグナルを遮断すると高血糖を伴うインスリン抵抗性が生じます。このことは糖尿病の形成に肝臓の糖代謝破綻が大きく関与していることを示すものといえます。

Ⅲ 肝臓での脂質代謝と脂肪蓄積
 
肝臓はもとよりコレステロールの合成・取り込みの場であると同時に、中性脂肪と遊離脂肪酸の代謝・酸化して、これらを肝臓にも蓄積します。肝臓の中性脂肪蓄積は、①門脈を介した食事あるいは脂肪組織由来の遊離脂肪酸の肝臓への流入、②肝臓での中性脂肪の合成、③肝臓での遊離脂肪酸酸化、④VLDLの合成、分泌、分解のバランスによって規定されます。肝臓への脂肪蓄積には、脂肪組織由来の遊離脂肪酸(59%)、肝臓での中性脂肪合成(26%)、食事由来遊離脂肪酸(15%)などが寄与しています。

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