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2021年3月14日

非アルコール性脂肪性肝疾患(その2)

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Ⅳ NAFLDとはどんな病気か

1)定義
 明らかな飲酒歴がないにもかかわらず、アルコール性肝障害に類似の大脂肪沈着を特徴とする肝障害をNAFLDと定義します。単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)を含む疾患概念です。

2)臨床診断
 画像上脂肪肝の所見があって、肥満症、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などを合併する患者で、ウイルス性肝炎、事故免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などの成因の明らかな肝疾患が存在しないことを確認して NAFLDと診断します。ただし、NASHの20%に抗核抗体陽性例があり、自己免疫性肝炎とのオーバーラップが示唆されています。
3)病型分類
 NAFLDは病理所見で次のように分類されます。     
        
1型 脂肪化のみ 単純性脂肪肝
2型 脂肪化+小葉内炎症 単純性脂肪肝  
3型 脂肪化+肝細胞風船様腫大 NASH
4型 脂肪化+肝細胞風船様腫大+マロリー小体または線維化 NASH

 肝細胞の風専用変性がみられる3型。4型で肝硬変への進展や肝関連死の頻度が高くなるため、長期予後の観点からこれらをNASHと定義しています。NASHは肝硬変~肝癌へと悪化する前段階と位置付けられています。

 Ⅴ NAFLDと糖尿病・インスリン抵抗性
 
2012年に発表された厚生労働省班研究では、日本人で2型糖尿病が肝機能異常とNASHのリスクを高めることが改めて明らかにされました。さらに、非アルコール性脂肪性肝疾患(NA FLD)と診断した365名の検討では、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)およぶ線維化の進行したNASHは、男性では糖尿病患者で非糖尿病患者に比べて高率でした。
 肥満が軽度な日本人では、比較的軽度な肥満で肝臓が脂肪化し、代謝異常が増大します。2007年のOECD(経済協力開発機構)の調査では、BMI30Kg/m2以上の人の割合は、米国人の32.2%に対して、日本人では3.2%にしか過ぎないにもかかわらず、日本人では比較的軽度な肥満域から動脈硬化につながる代償異常が増大します。肝臓の脂肪量は内臓脂肪量とは必ずしも相関しませんが、インスリン抵抗性の指標と相関することから、肝臓の脂肪化がインスリン抵抗性を形成する可能性があるとも考えられています。
 脂肪肝が将来の糖尿病発症の独立因子であることも、疫学的に明らかにされています。
 

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