非アルコール性脂肪性肝疾患(その4)
Ⅷ NAFLD患者に対する運動療法の可能性
運動療法がNAFLD患者の肝機能異常と肝病理を改善させることを示した研究報告は多くあります。肝脂肪化には主に脂肪組織由来の遊離脂肪酸が寄与することを考えると、運動療法による脂肪組織の量的減少が最も治療価値の高いように思えますが、体重減少効果は3~10 %との報告に過ぎません。しかし、2週間の食事・運動療法が、早朝遊離脂肪酸レベルを変化させず、体重を2.6%しか低下させなかったにもかかわらず、肝細胞内中性脂肪含量を20%低下させたとの報告もあり、運動療法は減量とは独立してNAFLD患者の肝機能異常と肝病理を改善する可能性があります。
運動の効果は多面的で、体重減少、基礎代謝亢進、脂肪組織の量的低下、骨格筋での脂肪酸酸化促進、骨格筋量の増大、骨格筋への糖取り込み促進などを介して全身のエネルギー代謝を促進します。これらの間接的効果に加えて、運動療法が肝臓に対する直接的効果を有する可能性があります。このメカニズムとして肝臓でのグルカゴン作用が運動療法による脂肪肝改善に寄与することが考えられています。
運動の種類と強度に関して、NASH・NAFLDの診療ガイドでは、最大心拍数の60~70%程度の有酸素運動を無理のない計画で継続することを推奨しています。一方、この様な有酸素的身体活動と同様に、無酸素運動となるレジスタンストレーニングもBMI低下とNAFLD患者の脂肪肝を改善します。
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