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2022年3月22日

骨粗鬆症のための食事療法(その1)

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Ⅰ はじめに
 
骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴として、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である、とWHO(世界保健機構)は定義しています。このようにWHOは骨粗鬆症は疾患であり、骨折を生じるに至る病的過程で、骨折は結果として生じる合併症のひとつだとしています。平均寿命が延びるにつれて骨粗鬆症の患者数も増加し、2005年の調査では男性300万人,女性980万人もの人が骨粗鬆症に罹病しているとされています。
 最近は,骨粗鬆症治療薬として効果の優れたものが開発され臨床使用されていますが,やはり食事療法に治療の基本があります。

Ⅱ カルシウムについて
 
 カルシウムは骨のミネラル成分の重要な構成栄養素で、骨粗鬆症の予防と治療に不可欠な栄養素です。成人男性では体内に約1000gのカルシウムがあり、その99%は骨にあります。ただし、骨の健康に関わる栄養素は多く、カルシウムだけが重要というわけではありません。カルシウム摂取量を増やすことは骨粗鬆症の予防と治療に有効ですが、腸管からのカルシウム吸収量は、ある摂取量以上ではプラトーになりそれ以上増えることはありません。また、腸管からのカルシウム吸収はビタミンDの栄養状態によっても影響を受けます。さらに、吸収されたカルシウムが骨に沈着するかどうかは骨形成の状態で決まります。したがって、カルシウムの摂取量だけを考えるのではなくて、栄養素全体のバランスよい摂取を考えることが重要です。

Ⅲ 骨粗鬆症を治療するためにはカルシウムをどれ位取ればよいのか
 
 骨粗鬆症治療のためのカルシウム単独の治療に対する有効性は余り高くありません。しかし、様々な骨粗鬆症治療薬の効果をより高めるための基礎的な栄養素としてカルシウム摂取は重要です。
 健康な人を対象に策定されている「日本人の食事摂取基準2015年版」ではカルシウムの推奨量は、成人期以降の値は低めに設定されています。これは成長期に推奨量のカルシウムを摂取して、十分な骨量獲得があった場合を想定しての値です。
 骨折に関する最近の調査では、カルシウム摂取と骨密度との間に関係はないという結果が示されていますが、カルシウム摂取量が少ないと骨折の発生が多いことと、カルシウムとビタミンDを組み合わせることで骨密度上昇効果、骨折予防効果があることが明らかにされています。
 これらの結果から骨粗鬆症の治療のためには1日700~800mgのカルシウム摂取が勧められています。ただし、同時に食事からのビタミンD摂取も考慮すべきです。日本人のビタミンDの主な供給源は魚類です。また、ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚でも合成されます。1日15分程度の適度な日照暴露も必要です。
 

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