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2022年3月14日

糖尿病と口腔ケア(その2)

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Ⅳ 糖尿病に伴う口腔内感染症と創傷治癒不全
 
1 口腔カンジダ症
 
口腔粘膜に発症する代表的な感染症に口腔カンジダ症があります。基本的にはカンジダ菌は口腔の常在菌のため、健常人では問題となりません。しかし、免疫機能低下や唾液分泌低下による口腔乾燥などが生じると、日和見感染症として症状を呈するようになります。
 口腔カンジダ症は偽膜性カンジダ症の頻度が高く、舌や頬粘膜、時には咽頭にも灰白色の偽膜を形成します。綿棒などで擦過すると容易に剥離し、剥離面は発赤し、出血することもあります。自覚症状としては、違和感(ざらざら感)や味覚異常を訴えます。
 一方、カンジダ菌による偽膜が義歯の刺激などにより剥離して、粘膜に紅斑を呈すると紅斑性カンジダ症と呼ばれます。紅斑性カンジダ症には口角炎も含まれます。また、口腔カンジダ症が慢性に経過すると、まれに粘膜の肥厚性変化を呈する慢性肥厚性カンジダ症となります。

2 口腔カンジダ症患者の口腔ケア
 
口腔カンジダ症は薬物療法が有効で、アムホテリシンBやミコナゾールなどが局所療法として良く用いられます。ミコナゾールは糖尿病薬であるスルホニル尿素薬(SU薬)と併用すると、SU薬の作用を増強して低血糖を引き起こすことがありますから注意が必要です。

Ⅴ 口渇および口腔乾燥
 
糖尿病患者では一般に「口がかわく」と訴えることが多くみられます。「かわき」という表現では「乾き」と「渇き」を区別する必要があります。広辞苑によれば,「乾き」は水分がなくなることで、「渇き」は喉がかわくこととされています。すなわち、「乾き」は口腔乾燥を、「渇き」は口渇を示すことになります。糖尿病では高血糖による「渇き」、口渇を生じますが、唾液の分泌低下による口腔・咽頭粘膜の湿潤性が低下した結果生じる乾燥した感覚が「乾き」で、その乾燥感が「口腔乾燥」と呼ばれています。糖尿病患者が「口がかわく」という自覚症状が起きたときには,どちらの「かわき」なのかを慎重に見極める必要があります。

Ⅵ 糖尿病と口臭
 
糖尿病患者では、「リンゴの腐ったような甘酸っぱい臭い」「柿の腐ったような甘酸っぱい臭い」などと表現される特有の口臭を生じることがあります。ケトン臭とも呼ばれ、脂肪の代謝産物であるアセトンが肺から呼気として排出されるのが原因で、ケトアシドーシスの症状として重要です。また、糖尿病では歯周病が合併しやすいために、歯周病が原因の口臭にも注意が必要です。歯周病細菌が産生する硫化物(メチルメルカプタンや硫化水素)が硫黄のような独特の強い悪臭を発生し口臭となります。
 口臭の訴えは、患者本人よりもむしろ歯科医師や家族などの周囲の人間から指摘される場合が多く、本人の自覚が低いことが特徴ともいえます。

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