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2023年9月10日

骨粗鬆症のリハビリ(その1)

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Ⅰ はじめに 

骨粗鬆症は骨が脆弱化した状態で、骨形成と骨吸収のバランスが崩れる閉経後の女性に高率に発症し、骨折しやすくなることによる日常生活活動性(QOL)の低下,さらには寝たきりへと進行する可能性がある疾患です。QOLが低下することで健康寿命にも影響します。骨粗髮症と診断されるのは男性で300万人、女性では980万人と推定され、特に骨粗髮症の状態で転倒することで引き起こされる大腿骨頸部骨折は年間15万件以上と年々増加しています。骨粗鬆症そのものでは活動制限はありませんが、転倒を伴うことで脆弱性骨折となることから骨折の危険因子としては重要であり、骨折により高齢者の大きな活動制限につながります。 
骨粗懸症の成因は、遺伝的素因、加齢、閉経後のエストロゲンの減少など多くの因子により ますが、骨のリモデリングの異常により骨吸収が骨形成を上回ることで骨量が減少します。 
 治療法としては食事療法や薬物療法が行われています。薬物療法は、骨粗鬆症に対する薬剤が積極的に開発されていて,骨吸収抑制薬化‘スホスホネート製剤など)や選択的エストロゲン受容体モジュレーター、骨形成促進薬(副甲状腺ホルモン)などを用いた治療法が行われています。その他、運動療法は骨密度を上昇させる効果があり、結果として骨折を抑制することも期待でき、筋力やバランス能力を維持することで転倒防止にもつながります。
 骨粗髮症でのりハビリテーション医療の役割は、運動療法による骨密度の維持あるいは上昇させること、転倒頻度を減少させ脆弱性骨折を予防することにあります。 

Ⅱ 骨粗癒症に対する運動療法の効果 

 骨粗鬆症に対する運動療法はこれまで多くの報告があり、有酸素運動や筋力増強、太極拳などの軽い動的負荷運動やジョギング、ダンス、ジャンプなどの強い動的な衝撃荷重運動を単独もしくは組み合わせて行うことで、骨密度の維持や上昇にいずれも高い効果があるとされています。有酸素運動と抵抗荷重運動により腰椎の骨密度が上昇し、さらに荷重訓練や筋力増強訓練を組み合わせた複合運動により大腿骨近位部の骨密度が上昇します。 
 筋力増強訓練及び耐久性訓練を6~24ケ月行った結果、閉経前野女性では年間平均腰椎で0.9%、大腿骨近位部で0.91%の骨密度の上昇を認め、閉経後の女性でも訓練後に年間平均腰椎で0.84%、大腿骨近位部で0.89%の骨密度の上昇が得られたとの報告があります。高強度抵抗運動を閉経後の女性に行った場合も、腰椎の骨密度が有意に改善し、これらの高強度抵抗運動を行う際に、理学療法士が介入した方が改善度が上昇するとのことです。 
 骨粗髮症患者は高齢者が多いことから、高強度抵抗運動のみならず一般的な運動療法についても理学療法士などの専門職による指導管理が重要です。高齢者で推奨される散歩などの歩行運動では、腰椎の骨密度の上昇はみられませんでしたが、歩行運動はリスクが低く、大腿骨近位部の骨密度の上昇効果がみられたことから、特に高齢者では骨粗髮症の運動療法として推奨されます。
 実際の臨床での骨粗懸症に対する運動指導は患者に合わせて行います。ある程度若い対象者には比較的強度の強い運動が勧められますが、高齢者には散歩や軽いスクワットなどの程度の運動が勧められます。具体的な運動療法としては、筋力増強訓練、水中運動、バランス運動、動的な衝撃荷重運動、様々な運動を組み合わせた複合運動などがあり、いずれの運動でも骨密度の上昇が報告されています。 
 背筋強化練習などの筋力増強訓練は、閉経後の高齢女性でも背筋量が有意に改善し、椎体骨折予防にも効果があります。また、踵上げ運動も骨密度の維持効果がみられ、筋力増強としても勧められます。バランス運動としてはダイナミックフラミンゴ療法が用いられることが多く、これは片脚で立位を保つもので、1回両側1分ずつを1日3回行うことで転倒する人が有意に減少しています。その他に、太極拳やヨガなどの運動でも骨密度改善効果が認められています。 

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