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2019年10月21日

高脂血症の食事療法(その1)

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Ⅰ はじめに
 
 糖尿病治療では血糖のコントロールだけ注意していればよいと思っている患者さんがいます。しかし、脂質管理を怠ると、糖尿病患者に合併する冠動脈疾患、脳梗塞といった脳血管障害、末梢動脈の閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化症や、腎症や網膜症といった細小血管障害の発症を促してしまうという調査結果もあります。
 この様な血糖や血清脂質の値は食事、運動といった生活習慣が深い関わりを持っています。しかし、具体的にどのような食事をしたら血清脂質異常が改善するのかについては、余り判っていません。現在行われている食事療法は本当に脂質異常の改善効果があるのでしょうか。

Ⅱ 糖尿病でみられる脂質異常症
 
 糖尿病患者の約半数に高脂血症の合併がみられます。糖尿病に特徴的な高血糖そのものが蛋白の糖化という作用でリポ蛋白に代謝に影響を与え、高脂血症が合併の有無にかかわらず、血管内皮障害、血管内膜へのコレステロールの蓄積促進などを起こして、動脈硬化を発症させたり、促進したりすることも知られています。

1)1型糖尿病でみられる脂質異常症
 未治療の1型糖尿病では著名な高中性脂肪(TG)血症を合併することがあります。血清TGは1000mg/dl以上となり、同時に血清コレステロール(CHO)も上昇します。皮膚には発疹性黄色腫が出現し、電解質異常や急性膵炎が続発することもあります。これはTG代謝にはリポ蛋白リパーゼ(LPL)が必要ですが、1型糖尿病ではLPL生成に関与するインスリンの絶対的な不足があるためです。インスリン投与によりこの様な異常は速やかに改善して、発疹性黄色腫の消退がみられることがよくあります。食事療法のポイントは、急性膵炎の発症予防と進展防止です。

2)2型糖尿病にみられる脂質代謝異常
 2型糖尿病でみられる脂質代謝異常もTG増加を特徴としています。この原因はインスリン抵抗性です。すなわち、末梢の脂肪細胞ではインスリン抵抗性のために、ホルモン感受性脂肪分解酵素の活性が亢進するために、脂肪分解が盛んに行われるからです。さらに、悪玉LDL-コレステロールの増加、善玉HDL-コレステロールの低下なども合併するために、冠動脈疾患の危険性が増すと考えられています。このため、アメリカ糖尿病学会ではLDL-コレステロールの管理目標を100mg/dl未満と設定しています。

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