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2022年1月18日

高血圧治療と生活習慣の修正(その2)

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Ⅱ 生活習慣の修正
 
①食塩制限
 人の生命維持に必要な食塩摂取量は1g/日以下で、3.8g/日までは安全に減塩できます。JSH2014では6g/日未満の減塩を推奨しています。1995年以降、わが国の平均食塩摂取量は減少傾向にありますが、なお10g/日以上が摂取されています。最近では、醤油、味噌、漬け物などの高食塩食品には注意が払われますが、パン、かまぼこ、コーンフレークなどの加工食品に相当量の食塩が含まれることや,コンビニエンスストア、ファーストフードの普及が減塩の妨げになっています。

②食塩以外の栄養素
 野菜や果物を積極的に摂取して、K、Ca、Mgや食物繊維の摂取量を増やすことが勧められます。ただし、腎不全患者では高カリウム血症、糖尿病患者ではカロリー摂取過剰に注意が必要です。また、動物性脂肪、乳製品の摂取を減らして、魚、植物性食品の摂取を増やすことで、飽和脂肪酸やコレステロールを減らして、不飽和脂肪酸の摂取増加に努めましょう。これらの個々の栄養素摂取による降圧効果は小さいものですが、野菜、果物、低脂肪乳製品など総合的な食事摂取介入により降圧効果が高められることが知られています。

③肥満の是正
 BMI<25を目標とし、維持します。特にメタボリックシンドロームの診断基準である腹部肥満(腹囲:男性<85cm、女性<90cm)は心血管疾患のリスクと相関があります。4~5Kgの減量で降圧効果の増加は頭打ちとなりますが、これとともに糖・脂質代謝が改善し、肥満に起因する心血管系の病態を改善する効果が期待されます。

④運動
 高血圧に対する非薬物療法としては、最大酸素摂取量の50%程度の好気的な等張性運動、具体的には早歩きあるいはゆっくりとした階段昇降程度の運動を1日30分以上,週3日以上行うことが勧められます。これより強度の強い運動の降圧効果は明らかではありません。運動は食事療法と組み合わせることにより減量にも有効であり、インスリン抵抗性の改善やHDLコレステロールの増加などに心血管病の危険因子を減じる効果もあります。

⑤節酒
 長期にわたる多量の飲酒は、血圧上昇に加えて、肝障害の原因となり脳卒中のリスクも増加させますが、飲酒量と死亡率の間にはJ型の関係が認められていて、男性でエタノール20~30 ml/日(日本酒1合程度)までの飲酒習慣ではむしろ死亡率が低いと考えられています。これは飲酒で血清HDLコレステロールが増加することが関係するものと考えられています。

⑥禁煙
 喫煙による血圧上昇と心拍数増加の持続は15~30分程度ですが、1日に数十本の喫煙が習慣的に繰り返されると、日中の平均血圧は明らかに上昇し、心拍数の増加は夜間にまで遷延します。この血圧に及ぼす影響に加えて、喫煙習慣は、冠動脈疾患や脳卒中などの心血管疾患、および肺癌などの悪性腫瘍や慢性閉塞性呼吸疾患の危険因子、増悪因子としての重要性が高いため、高血圧患者に限らず、広く禁煙を勧める必要があります。

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