再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2023年7月24日

高齢者の貧血について(その1)

0

Ⅰ はじめに 

我が国は2016年に4人に1人が65歳以上の超高齢社会に突入し、国民の2人に1人の高齢者が何らかの悪性疾患に罹患するといわれています。高齢者に多い鉄欠乏性貧血や二次性貧血もさることながら、血液疾患、特に造血器三大悪性腫傷である骨髄異型性症候群/急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は、発症頻度のピークが高齢者にあるため、これから貧血を主訴に医療機関を受診する患者が増加することが見込まれています。 

Ⅱ 高齢者貧血とは 

高齢者貧血の定義は、海外では若年者と同様にWHO基準が用いられていて、男性でHb13.0g/dL未満、女性でHb 12.0g/dL未満とされています。小児では全身の骨髄で造血が行われていますが、骨髄中の造血細胞は加齢と共に減少し、脂肪変性されていきます。腸骨稜でみた場合、骨髄の細胞成分は生下時に比べて30歳までに50%に減少し、65歳を超えると約30%になり、加齢と主に貧血傾向を認めます。我が国で行った60歳以上の老人ホーム入所者の検査結果から、男女を問わずHb 11.0g/dL未満を高齢者の貧血と定義することが良いようです。 

Ⅲ 高齢者貧血の症状 

高齢者の貧血で最も多い原因は鉄欠乏性貧血で、残りの多くは二次性貧血です。これらの貧血は緩徐に進行するために、貧血症状は典型的ではありません。つまり、高齢者の貧血症状の特徴は、合併する基礎疾患の悪化による症状が前面に出ることです。そのため、意識障害、呼吸困難、狭心症、心不全、起立性低血圧などの呼吸器・循環器症状、食欲不振、味覚障害、体重減少、口内炎・舌炎などの消化器症状など多彩な症状を呈します。 
一方、高齢者でも貧血の原因により特徴的な症状を呈することがあります。ビタミンB12欠乏性貧血では、味覚障害から食欲低下を招き、典型例では萎縮性舌炎(ハンター舌炎)を呈します。また、亜急性連合性脊髄変性症および認知症を引き起こすことがあります。鉄欠乏性貧血では舌炎やスプーンネイルが認められます、腰痛を合併している場合には、骨粗髪症による圧迫骨折はもちろんのこと、内服している非ステロイド性抗炎症薬による消化管出血や多発性骨髄腫も疑う必要があります。さらに、狭心症/心筋梗塞、不整脈、深部静脈血栓症や脳梗塞後に抗血小板薬や抗凝固薬を服用している患者では易出血性、特に消化管出血による貧血にも注意する必要があります。 

Ⅳ 高齢者貧血の原因 

高齢者貧血の原因は多岐にわたりますが、1)悪性疾患35%、2)感染症19%、3)悪性疾患 を除く消化管出血10%、4)骨折9%、5)腎疾患8%、6)血液疾患7%、7)廖原病7%などです。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日