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2022年8月8日

高齢者薬物療法の注意点(その2)

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Ⅲ 投与量の調節 
  
先に述べたような薬物動態の加齢変化によるために、高齢者では代謝低下による最大血中濃度の上昇や排泄低下による半減期の延長から薬物血中濃度が上昇しやすくなります。肝代謝能を見る簡便な臨床検査がないため、投与量を減らすとか、投与間隔を延長するなどの工夫をする必要がありますが、実際的には少量より始めて、副作用の有無をチェックしながら徐々に増量していく方法が一般的です。 

Ⅳ 多剤併用の問題点 
  
一疾患当たりの処方薬物数は年齢でそれほど変化はないようですが、高齢者では多病のために多剤併用になりやすくなります。老年科外来の多施設調査では平均4.5種類、レセプト調査では70歳で平均6種類以上服用していました。
 多剤併用の問題としては、薬剤費が増大するということや、服用する手間がかるという問題も無視できませんが、高齢者でより問題が大きいのは、薬物相互作用および処方・調剤の誤りや飲み忘れ・飲み間違いの発生です。何剤以上を多剤とするかの検討では、5種類以上内服している人に上記の間違いが発生しやすいことから、5~6剤以上を多剤併用の目安とするのか一般的ですが、海外では5種類以上を多剤と定義するのが一般的です。 

V多剤併用への対策 
  
訴えが多くなると、医者はその症状に応じた対症療法を行いがちです。このために服用薬剤が増えていくことが一般的です。例えば10種類の薬剤を服用している人は、服用している薬剤の優先順位を見直すことから始めると、服薬薬剤数を減らすことが可能です。ただし、いたずらに服用薬剤数を減らすことに夢中になって、症状が再燃することがあってはなりませんので、主治医とよく相談してみることが大切です。

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