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2024年3月25日

J-DOIT3(その2)

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Ⅲ J-DoIT3の試験デザイン 

J-DoIT3は厚生労働省の戦略研究のひとつとして、J-DoIT1(糖尿病発症予防の研究)、J-Do IT2(治療中断予防の研究)ともに2005年に計画され、2006年6月~2009年3月にかけて、45才~69才の2型糖尿病で高血圧か脂質異常症があり、食事・運動療法のみ、経口薬1剤、経口薬1剤+αグルコシダーゼ阻害薬で治療されている患者2,542名を、現在のガイドラインに沿った治療を施す従来治療群(1,271名、目標: HbAlc<6.9%、血圧130/80mm Hg、LDL-C<120mg/dL「心血管病の既往がある場合は<100mg/dL」)と、より厳格なコントロールを目指す強化療法群(1,236名、目標: HbAlc<6.2%、血圧120/75mmH今、 LDLC<80mg/dL「心血管病の既往がある場合はく70mg/dL」)とに無作為割り付けしました。開始時の年齢は59歳、糖尿病櫂病期間は約8.5年、HbAlcは約8.0%、血圧は134/80mmHg、LDL-Cは約125mg/dLで心血管病の既往者が11%含まれていました。喫煙者は従来療法:強化療法=21.0%:25.8%と強化療法群で多かった。

IV J-Do IT3の結果 

8.5年間の介入の間、従来療法群と強化療法群の各パラメーターの平均値は、HbA1c(7.2 %vs. 6.8%)、血圧(129/74vs123/71mmHg)、 LDL-C(104vs85mg/dL)で、いずれも 強化療法群で有意に改善していました。主要評価項目は、全死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈および脳動脈血行再建術の複合エンドポイントで、強化療法群で有意ではない19%の減少を認めましたが、あらかじめ定められた喫煙などの因子で調整すると、24%の有意な減少となりました。この他、強化療法群では脳血管障害58%、腎症32%、網膜症14%と有意な抑制が認められました。 

V J-DoIT3の結果をどう考えるか 

J-DoIT3で、主要評価項目で補正前には有意差を認めなかったことについては、従来療法のコントロールも極めて良好で、合併症の発症率がこれまで報告されている研究に比べて極めて低率であったこと、強化療法群でいくつかの項目で治療目標に達しなかったこと、心血管死が極めて少なかったこと(従来療法にのみ起こり97例中4例)などが考えられます。一方、強化療 法群の患者は、血圧計、加速度計、自己血糖測定機などを配布して自己管理の向上を図り、生活習慣のためのコアカリキュラムを作成して療養指導士などの教育による生活習慣の改善を図りました。これらの結果、比較的少ない薬物で各パラメーターは良好なコントロールが達成でき、重症低血糖や、低血圧による転倒などの重篤な副作用を起こすこともありませんでした。ただし、今回の研究では、糖尿病専門医による集学的な治療が施された上での結果であるので、非専門医でもこのような多因子介入がどの程度厳格かつ安全に実行でき、また有効であるかの検討も今後必要でしょう。

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