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2021年11月22日

SGLT2阻害薬について(その1)

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Ⅰ はじめに
 
2014年春に新しい作用機序を持った経口血糖降下薬SGLT2阻害薬が発売されました。これまでの経口薬は,直接的あるいは間接的にインスリンの力を借りて、血液中に過剰に存在するグルコース(ブドウ糖)を細胞内に押し込むことで血糖値を下げていましたが、今度のSGLT2阻害薬はグルコースを腎臓から尿中に排泄させることで血糖値をさげるという、これまでにない新しい作用機序を持った経口薬です。これまでの糖尿病薬が細胞の過栄養化を計ることで血糖値を下げてきたのし対して,このSGLT2阻害薬は低栄養をもたらすことで血糖値を下げる糖尿病薬だともいえます。この新しい糖尿病薬の特徴と欠点を正しく理解してよりよい血糖コントロールを目指したものです。

Ⅱ SGLT2とは
 
SGLTとは、sodium glucose cotransporter(sodium glucose transporter)の略で、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種のことです。SGLTは、体内でグルコースやナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担っています。
 SGLTの種類はいろいろあり、体内のさまざまな場所に存在していますが、SGLT2に限っては、腎臓の近位尿細管という場所に限定的に存在しているのが特徴です。近位尿細管は、血液中から取り出して必要なものを体内に取り込み、不要なものを尿として排泄する働きをします。この過程において、SGLT1とSGLT2は、グルコースを栄養分として細胞内に取り込む役割を担っています。近位尿細管で再吸収されるグルコースのうち、90%はSGLT2の働きによるもので、残りの10%はSGLT1の働きによるものです。

Ⅲ SGLT2阻害薬の作用機序
  
健康な人では、近位尿細管のSGLT2の働きによって、血中グルコースのほとんどが再吸収され、尿糖は排泄されません。ところが高血糖状態では、SGLT2の再吸収能を超えた分のグルコースが尿糖として排泄されます。「尿に糖が混ざる」という現象は、「糖尿病」という病名の由来でもあるわけですが、その現象はSGLT2の働きの限界を示すものといえますし、また同時に、この現象は多少なりとも高血糖の緩和に寄与しているとも言えます。
 しかし糖尿病ではSGLT2の発現が増加していることがわかっています。つまり、高血糖の緩和という観点では尿糖排泄が増えたほうが有利なのにもかかわらず、逆に血糖値をより高いレベルに維持するような悪循環が作られてしまっているわけです。
 SGLT2阻害薬はその名のとおり、SGLT2の働きを阻害する薬剤です。SGLT2の働きを阻害すると、近位尿細管でのグルコース再吸収が減り、その分だけ尿糖の排泄が増えます。その結果、高血糖が改善されます。

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