SGLT2阻害薬について(その2)
Ⅳ SGLT2阻害薬の特徴
これまでの糖尿病治療薬は膵臓に作用し、最終的にはインスリンを出すことで血糖コントロールを改善するものでした。SGLT2阻害薬の大きな違いは、腎臓に作用する治療薬であるということ。膵β細胞を酷使するわけでもなく、インスリン分泌の有無を問わず、腎臓の機能そのものへの負担はありません。あくまでも、その作用は腎臓の近位尿細管内にとどまり、他の治療薬のメカニズムに影響を与えることもないため、組み合わせによってはより大きな効果を引き出すことが期待されています。
Ⅴ SGLT2阻害薬のメリット
SGLT2阻害薬のメリットとして、
①インスリン分泌に依存しない作用機序のため、低血糖の心配が少ない
②体重減少効果
③血圧低下
④脂質改善(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
などがいわれています。しかし、体重減少は尿中にグルコースが排泄されることによる浸透圧利尿による脱水による見かけ上の体重減少ともいえ、この薬が「やせ薬」だということではありません。
また、1型糖尿病患者さんへの使用でも、随時血糖値、空腹時血糖値ともに低下し、HbA1cが改善したという結果が出ています。さらに、体重減少、低血糖リスク低下などの効果もわかってきています。
Ⅵ SGLT2阻害薬使用に関する注意点
SGLT2阻害薬の作用機序から、次のような副作用が起こり得るのではないかといわれています。
①多尿による脱水。特に腎機能が低下している患者、高齢者には注意
②尿糖が頻発することによる尿路感染症
③性器感染症(特に女性)
④血糖値が正常でも尿糖が出る
⑤1,5-AG値が極端に低くなる
⑥コレステロール、血圧、血清カリウムなどにも影響か?
⑦インスリン分泌不全の場合、ケトアシドーシスの注意が必要
⑧腎性糖尿:はじめから閾値が低い腎性糖尿の場合、栄養障害の可能性も
⑨食欲が増して,甘いものがやたらと欲しくなる
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