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2020年4月12日

よくある食事療法に関する質問(その1)

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Ⅰ はじめに
 
糖尿病患者さんを対象にした公開講座に寄せられた質問を分析したところ、食事療法に関する質問では、食事計画に関するものが最も多かったことが分かりました。つまり糖尿病患者さんが知りたいことは、「何を食べたらよいのか」ではなくて、「どのように食べたらよいのか」ということなのでした。

質問1:食事回数は1日何回がよいのでしょうか?

回答
 食事回数は、朝・昼・夕の1日3回以上(必要に応じて1日5~6回の食事回数又は軽食)の摂取が好ましく、1日2食の食パターンとなる欠食は止めましょう。また、インスリン抵抗性の改善を目的とした肥満の減量のための食事療法でも、1日3回以上の食事摂取は重要です。
 その理由のひとつには、絶食状態が長く続くと、肝臓でのブドウ糖産生が活性化され、脂肪組織のインスリン抵抗性が増悪することが知られているためです。
 もう一つの根拠は、食事誘導性熱産生の問題です。私たちの体の総エネルギー消費量は、基礎代謝量(約60%)、身体活動量(約30%)、食事誘導性熱産生(約10%)の3つで構成されています。食事誘導性熱産生は、食事摂取による刺激で生じる条件的な熱産生です。従って、消費エネルギー量を増やす目的からも食事の欠食は避けなければなりません。

質問2:1回の食事量はどのくらいがよいのでしょうか?

回答
 まず、年齢、性、体格、身体活動状況、血糖コントロール状況をはじめとした様々な病態を考慮して1日の総摂取エネルギーが設定されます。次ぎに、質問1により得られた1日の食事回数により、1食当たりのエネルギー量を導きます。
 1食の食事量は、1食当たりのエネルギー量や、このエネルギー量を構成する栄養成分であるたんぱく質、脂質、炭水化物の量と食事全体の容量となる「かさ」も考慮する必要があります。

質問3:果物は1単位までならいつ食べてもよいのでしょうか?

回答
 果物は夜間の摂取は避けて、0.5単位程度/回の量を食後に摂取するのがよいとされています。
 エネルギーが同じでも血糖上昇への影響は、果物の種類によって大きく異なります。例えば、水分含有量の多い果物ほど食後血糖値を上昇させることが判っています。
 また、果物に含まれる炭水化物は、フルクトース(果糖)、グルコース(ブドウ糖)、デンプンにより構成されていますが、このうちグルコースとデンプンの代謝はインスリン依存性に行われますが、果物の大半を構成するフルクトースはインスリン非依存性です。すなわち、フルクトースはインスリンの調節を受けることなしに肝臓で速やかに解糖系に入ります。フルクトースが代謝されるスピードはグルコースより数倍速いものです。この速さで代謝されるフルクトースは、エネルギー過剰な状態、すなわち食直後などでは、解糖系で分解されてエネルギーを作ることをしないで、逆に解糖系を逆行してグルコースへと変換されてしまします。つまり血糖値が上昇することになるのです。ですから、食後の果物摂取は急激な血糖値の上昇をもたらす危険性が高いので、余り勧められません。                  

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