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2020年4月26日

よくある食事療法に関する質問(その3)

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質問5:朝食は食べた方がよいのでしょうか?
回答
 ヒトは、様々な身体機能や行動パターンを24時間周期で制御する体内時計を持っています。この24時間周期である概日周期の統合は、脳内の視床交叉上核(中枢)にあり、太陽光により24時間の概日リズムを刻んでいます。一方、肝臓や小腸などの体細胞(末梢)も概日リズムを作っています。
 例えば、動物に毎日一定時刻に食餌を与えると、食事時間には活動量を増加させて、12時間後には活動が低下するようなリズムを作ります。さらに、食餌を与えなくても、食事時間の少し前から活動を始めるという予知行動リズムも見られます。次ぎに、朝・昼・夕食での食餌を与える時刻を変えてみると、夕食の時刻を変えても位相は維持されますが、朝食の時刻を変えると位相は変化します。
 すなわち、中枢と末梢の概日リズムの位相は異なり、中枢の視床交叉上核は太陽光により位相が補正されますが、末梢時計は朝食の摂取により位相を合わせる、つまり、朝食の規則正しい摂取が概日リズム作りに重要なことが判ります。
 ちなみに、肝臓での正常なコレステロール代謝を維持するためには、肝臓の正常は日周リズムが必要なことが必要なことが明らかにされていて、このためには規則正しい摂食リズムが必要なことも判っています。
 また、総摂取エネルギー量の半分以上を夜に摂取する夜間摂食症候群の人々は、正常体重群では罹患率が0.4%であったのに対して、肥満患者では罹患率が約15%にも達することが欧米の成績で明らかにされています。

質問6:「腹八分目に食べる」という「腹秤」による食べ方は正しいのですか?
回答
 インスリンとレプチンは視床下部に作用して摂食を抑制したり、熱産生を亢進させたりします。コントロール不良の2型糖尿病患者では、体脂肪量、血中レプチン値、血中インスリン値の全てが低下していますが、コントロール不良のインスリン欠乏状態の糖尿病ラットに、レプチンを補充すると過食が改善したことから、摂食の抑制に関してはレプチンの方がより重要な役割を果たしているものと考えられています。
 高脂肪食で肥満していく過程では、レプチン値が上昇してもレプチンが作用する閾値が上昇するというレプチン抵抗性が起こります。さらに、レプチン抵抗性では中枢でのセットポイント体重が高くなり、体重が上昇しやすい生態環境を作ると考えられています。
 一方、肥満者が減量すると、体脂肪の減少によりレプチン分泌量の低下による作用不足が起こると同時に、レプチン抵抗性が改善されない期間では、食欲が異常に亢進するという結果を招きます。つまり、レプチン分泌量の低下あるいはレプチン抵抗性が存在する場合でも食欲が亢進し、「腹八分目」のスケールとなる「腹秤」は大きく振れて、使い物にならないことを説明します。この様なときこそ、食品のエネルギー計算による単位計算が重要となります。
    

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