再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2020年3月16日

インスリン注射とアルコール消毒(その1)

0

Ⅰ はじめに
 
現在世界の糖尿病患者数の合計は、1億9,400万人であり、2025年には、3億9千万人まで増加すると予想されています。現在のわが国で、糖尿病を強く疑われている人は約740万人、糖尿病の可能性を否定できない人をあわせると約1,620万人といわれています。糖尿病患者は約210万人で、その中でインスリン治療を受けている患者数は約70万人います。インスリン治療は1型糖尿病患者さんにとっては生存のために必須の治療法ですが、2型糖尿病患者さんでもインスリン治療が必要となっている患者さんが増えてきていますが、インスリン治療に対する拒絶反応が少なくなく、インスリン治療が必要であるにもかかわらず、拒絶されることが少なくありません。
 インスリン治療に対する拒絶反応には、インスリン注射をする様になったらお終いだという誤解が殆どですが、インスリン治療手技の煩わしさも拒絶反応の原因のひとつといえます。1日数回のインスリン注射の度に、注射部位の皮膚をアルコール消毒するための用具や注射器、血糖測定器などを用意する必要があることなどが煩わしく感じるのも無理はありません。
 ところで、注射前の皮膚消毒は、穿刺によって皮膚表面の細菌が体内に侵入するのを防ぎ、感染のリスクを低下させることを目的として日常行われています。アルコール消毒は細菌芽胞族を除く広範囲のウイルス、結核菌、糸状真菌、酵母様真菌、一般細菌の消毒に有効とされています。無色で速乾性があり、迅速な殺菌効果を示すので、注射部位の皮膚消毒に広く用いられています。
 インスリン自己注射時にもアルコール消毒を使用するのが一般的です。
 糖尿病患者は感染症に対する抵抗力が低下していることから、インスリン注射時の皮膚消毒は必要不可欠だと広く信じ込まれてきました。日本の多くの医療施設で、洋服をたくし上げてアルコール綿で皮膚を消毒してから注射する様に指導してきました。そのため、外出時にインスリン注射をする際には、患者さんは福毛器を露出する必要性を考えてトイレなど人目に付かない場所にわざわざ駆け込んで注射している風景が多くみられました。日常診療の中で、「外出時に消毒が面倒なのでインスリン注射しなかった」「会食時にトイレに立つタイミングがなくて注射できなかった」などという患者さんも少なくありません。
  最近になって、消毒を省いても感染症は発症せず、また衣服の上からインスリン注射しても安全であることが明らかにされました。                         

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日