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2017年4月16日

人工透析について(その2)

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Ⅲ 人工透析導入のタイミング
 
1) 緊急に人工透析の導入が必要な場合
 
 腎臓機能の程度や原因疾患にかかわらず、緊急に透析療法を行わなければ、患者さんの生命の存続が脅かされる事態になれば、緊急に人工透析が行われます。多くみられるのは、体液が過剰に貯留した状態(溢水状態)で、糖尿病性腎症が原因の慢性腎不全で特に起こりやすのです。高カリウム血症や代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾きすぎた状態で非常に危険な状態です)、心外膜炎なども時々原因としてみられます。

2)我が国の透析療法の基準
 
 1972年に透析療法が公費負担となり、最初の透析療法導入の基準が設けられました。この基準は臨床症状、腎臓機能の障害の程度、日常生活の障害の程度から総合的に導入の基準を決めようというものでした。
 実際には血清中のクレアチニンの値で透析の時期を決め、クレアチニン値が8mg/dl以上になると透析療法の適応となります。
 しかし、このクレアチニン値は筋肉量を反映しているため、筋肉量の少ない章に、小柄な女性、高齢者や糖尿病の患者さんでは、同じ腎臓の機能でも普通の筋肉量の人に比べて血清クレアチニン値は低くなる傾向があります。このため、このような症例では血清クレアチニン値だけで腎臓の機能を評価すると、実際の腎臓の機能よりも過大に評価してしまう危険性があります。このため、血清クレアチニン値が8mg/dl以下でも尿毒症による種々の症状により透析療法を始めなければならない場合が少なくありませんでした。
 そこで、1991年に慢性腎不全透析導入基準が新しく策定されました。この基準では、臨床症状、腎臓機能、日常生活の障害度について、それぞれ10~30点の点数化が図られていて、3項目の合計点数が60点以上になれば透析の導入が適切であると判断するようになりました。
 この新しい基準ではただ単に血清クレアチニン値が8mg/dl以上だからというだけでは透析導入の基準を満たすことはできません。反対に、血清クレアチニン値が8mg/dl以下でも臨床症状や日常生活の障害度により透析が早期から行われることもあるようになりました。
 例えば、糖尿病性腎症による慢性腎不全の患者さんで、血清クレアチニン値が5mg/dl未満(10点)でも、体液貯留が著しくて肺水腫や心不全がみられるような症例では、循環器症状、体液貯留の項目で20点、日常生活障害度で20点、全身性血管合併症で10点が加算されますから、合計6点となり、透析療法の基準を満たすことになります。

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