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2015年5月6日

低血糖について(その1)

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Ⅰ  低血糖とは何か

糖尿病で薬物治療をうけている患者さんが、避けて通れない問題に低血糖があります。低血糖は処置を誤ると昏睡になることもあり、その意味では怖い状態ですが、正しく対応すれば、必ず正常に戻ります。いたずらに怖がることはありません。

低血糖は薬物によって血糖値が異常に低下した状態のことですが、この低血糖には、「血糖値が急激に低くなる」という状態の低血糖と、「血糖値が絶対的に低い」という低血糖の二種類があります。この二種類の低血糖が連続して同時に起こるのが普通です。まず最初に、血糖値が急激に変化して低くなりはじめ、やがて絶対的に低くなる、という順番に起きます。

 

Ⅱ 「血糖値が急激に低くなる」という低血糖

血液中のブドウ糖(血糖)は生命を維持する上で、最も重要なエネルギー源です。このエネルギー源が急激に低くなるという状態は、生命の危機の招来を予見する状態ともいえます。このため、人間の体には血糖値の急激な変化を感知すると、血糖値を元に戻すように働くメカニズムがあります。これは人間の生命維持を司る自律神経系の役割です。自律神経は直ちに交感神経を活性化させて、血糖値を上げる働きのあるカテコラミンやステロイドホルモンなどのホルモンを副腎という腎臓の上部にある小さな内分泌臓器から分泌させます。このホルモンの急激な分泌によりもたらされる症状として、異常に強い空腹感、力のぬけた感じ、動悸、冷や汗、手足の振るえ、眼のちらつき、頭痛などが出現します。

従って、このタイプの低血糖は血糖値が必ずしも低いとは限りません。例えば、高血糖昏睡で血糖値が800mg/dL以上あった人が、治療で血糖値が急激に下がったとき、たとえ血糖値が300mg/dLでも、このような低血糖症状が発現します。

 

Ⅲ「血糖値が絶対的に低い」という低血糖

脳はブドウ糖以外のエネルギーが使えません。一般の細胞ではブドウ糖が細胞の中に取り込まれるための特別なメカニズムがありますが、脳細胞では水が高いところから低いところに流れていくように、脳細胞外の高い濃度のブドウ糖が脳細胞内の低いブドウ糖濃度の方に流れて入るという、きわめて単純な方法でブドウ糖が取り込まれます。つまり、脳細胞の外と内のブドウ糖濃度にある程度の差がないと、ブドウ糖は脳細胞の中に入ることができません。この濃度差を作るためには、男性で50mg/dl、女性では40mg/dlの血糖値が必要だとされています。これよりも血糖値が低くなると、脳細胞にブドウ糖が流れ込まなくなるため、脳細胞はエネルギー不足になり、中枢神経系は正常な機能が維持できなくなります。このために中枢神経の機能異常による症状として、いつもと人柄が違ったような異常な行動をとる、ぼんやりする、ふらつく等の症状がこの低血糖にともなって起こり、はなはだしいときは、けいれんを起こしたり、意識を失うこともあります。

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