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2023年5月15日

先行的腎移植について(その2)

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Ⅳ 成人における先行的腎移植の有用性 

成人CKD患者での先行的腎移植は小児CKD患者にみられるような成長発育や精神発達における治療効果が顕著でないこともあり、腎代替療法における透析療法を拒む患者を含めて、腎提供者が存在したときに実施されてきた経緯があります。しかし、2000年代になり、成人CKD 患者における先行的腎移植の生存率や生着率の成績が従来の腎移植に比較して優れているという成績が次々と報告されるようになり、成人のおける先行的腎移植が推奨されるようになりました。

先行的腎移植の利点

1 透析治療を経てからの移植に比べ、移植腎生着率、患者生存率が良好である 
2 透析治療のための、内シャント作成や、腹膜透析のカテーテル挿入の必要がない 
3 透析治療のための、より厳格な食事制限や水分制限の必要がない 
4 透析治療に費やす時間を回避できる 
5 透析治療による合併症(心血管系疾患、骨代謝など)が回避できる 
6 社会生活(雇用、収入など)を維持したままの生活が可能である 
7 小児の場合は、成長障害が解消され、最終身長が伸びる 

Ⅴ 先行的腎移植施行における問題点 

先行的腎移植という新しい治療法の登場は、これまでの腎移植の流れを変えるもので、末期腎不全での腎代替療法の選択における新しい選択肢の登場となりました。それゆえに、先行的腎移植のメリットとデメリットを十分把握することが重要です。 
腎移植に際しての術前準備は一般的な手術とは異なり、組織適合検査、ワクチン非摂取に対する処置、悪性腫傷の検査など、そのチェックには相当の時間を費やすことになります。また、腎提供者に関する種々の検査も同様に短期間では不可能で、さらに急速に腎機能が低下した場合の手術室使用に関する対応が不十分なために、やむなく透析導入となる可能性もあります。したがって末期腎障害の時点で、腎代替療法選択において先行的腎移植に関する説明も十分になされている必要があります。
また、欧米では献腎移植が過半数を占めていますが、我が国では献腎移植例が少ないために生体腎移植が大半を占めています。腎提供者として、成人では妻からの提供が過半数を占めているのが大きな特徴です。腎提供者の確保がこれからの大きな課題ともいえそうです。

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